※YouTubeでしか語っていない部分があります。

- ウルトラマンの力が強くなり過ぎないように
- 特撮にお金がかかり過ぎないように

「ウルトラセブンは変身時間に制限がある。」という説明は本編に出てきません。
敵との戦いになっても、セブンが強すぎるのか、宇宙人が弱すぎるのか、あっけなく勝負が決まってしまいます。
モロボシダンがウルトラアイで変身するまでに、敵の宇宙人に妨害を受けるなど山場があって、変身してしまえばあっさりと事件は解決して、幕引きをみてしまいます。


こうしたウルトラセブンが強すぎる問題は、後半以降の視聴率の低迷につながると思われます。第7話は象徴的な物語の展開を見せます。
そして、あの方の●●をついに買ってしまいます…
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あらすじ
山の中で小さな宇宙船が発見され、発見者は何者かによって●害された。それからというもの、ガソリンを狙った怪物によって、市民が襲われる事件が多発した。
宇宙からの怪電波を翻訳に成功した宇宙ステーションV3の水野隊員。宇宙囚人303号がキュラソ星から脱走して、地球にやってきている事がわかる。
キュラソ星人は、アンヌ隊員を人質にして逃亡をはかろうとする…はたして!?
その37 ウルトラと出光の不思議な関係とは?
「ウルトラセブン」の指折りの珍場面として、キュラソ星人に襲われた
「クォニチワ、がそりんヲ、クゥダサァイ、ダレモイナイノッカシラ?…」
と、謎にたどたどしい日本語で喋る外国人女性客がいます。
おそらく、セブンは日本国外での放映を狙っていたこともあって、各所に外国人俳優の出演が謎に目立ちます。
さて、キュラソ星人に襲われてしまう出光のガソリンスタンドは、2022年現在も三鷹通り沿いで、出光の看板も変わらず運営中のようです。東京都内にあり、セブンのロケ地探訪としては、最も行きやすい場所ではないでしょうか。
最後に襲われた、ガソリンスタンドの店員は、ウルトラQの戸川一平役をしていた西條康彦さんですな。
西條さんとアンヌ隊員役のひし美ゆり子さんは、後に映画「ウルトラマンゼアス2」で、ゼアスを応援する街のおじさんと主婦として、夢の共演を果すことになります。


映画「ウルトラマンゼアス」の公開は、ウルトラマン生誕30周年目にあたる1996年に、円谷プロによる企画でした。
出光興産は、問題視されはじめた地球温暖化に対応する新しいクリーンなガソリン、「ゼアスガソリン」を多方面にアピールするためのCMキャラクターとして、「ウルトラマンゼアス」を全面バックアップしました。
とんねるずが出演してコメディ全開の「ウルトラマンゼアス」は、対照的にハードSF全開の「ウルトラマンティガ」と同時期にあたる、16年ぶりの純日本製の新作ウルトラマンなのでした。


ゼアス放映10年後にあたる2007年、「ウルトラ出光人」という「ウルトラマンHotto」、「ウルトラマンMotto」、「ウルトラマンKitto」というゼアスと同じZ95星雲「ピカリの国」出身の 3人組のウルトラマンが製作されました。
2007年1月から、わずか3ヶ月間のテレビCM出演のみでしか世間に姿をあらわしておらず、幻のウルトラマンともいえます。

その38 ウルトラホーク1号の1番映えた神回
キュラソ星人はアンヌ隊員を人質にして、ホーク1号のβ号を盗み、宇宙への逃亡をはかろうとします。
モロボシダンの提案により、β号を追跡して、燃料が尽きてきたところで、強行ドッキングして、アンヌを救助する作戦が開始されます。
航空灯を灯しながら、夜空をカーチェイスするウルトラホーク…BGMは、例の「ウルトラセブンの歌」のNG版が流れ、場を盛り上げます。


特撮映像にはとてもお金がかかります。信じられない話ですが、円谷プロの経営は、ウルトラセブンには既に借金がかさみ自転車操業の状態でした。
初期のウルトラシリーズでは、TBSは550万円程を円谷プロに支払っていました。全国ネット30分の子供番組に制作費200万円程度、1時間ドラマでも500万円を超えなかった時代です。
しかも、実際の経費は1本1000万円近くになり、番組を作るたびに借金が積み重なっていました。経費節減のために、企画でボツにする事もあったり、着ぐるみやミニチュアの使い回しがあったのは有名な話です。

高度経済社会の当時、さらに黎明期のテレビ局は、たくさんのお金があったからできたのです。
2022年現在、特撮技術が失われつつありオーパーツ化しようとしている理由は、なにもCGの普及のせいだけでなく、たくさんのお金がなくてはできないからです。
※詳しくはYouTubeにて語っています。
その39 特撮の神様を●●せてしまった「777事件」
ウルトラセブンの第7話は、変身時間たった7秒で事件が解決してしまうという、謎に777続きとなる…ヒーロー番組としては、ギネスに誇る最短時間を更新してしまったのではないでしょうか?
本第7話には、さすがの円谷英二も試写会で不満をもったと言われます(※1)。

準備段階と決定段階の脚本どちらにも、クライマックスの展開は、ホーク1号のβ号機内でウルトラセブンとキュラソ星人の戦いが書かれていました。

ところが、完成した映像では、セブンは戦うことなくβ号から脱出してしまいます。キュラソ星人はβ号墜落の後に巨大化しますが、燃え盛る炎に巻かれ、体内に蓄えていたガソリンに引火して爆発します。

脱出してすぐセブンはダンに戻ります。カットの切り替わりのみなので、変身からたった7秒間で完結してしまいます。
ここで、無謀とも言えるダンの行動に、すべてを委ねてしまうキリヤマ隊長の判断は、いかにも第5話の疑惑につながってきますな…
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【ウルトラセブン|第5話|消された時間】キリヤマ隊長はモロボシダンの正体を知っている裏設定とは?
ウルトラセブンに登場する敵の宇宙人は、モロボシダンの正体を知っていて罠にはめます。しかし、なぜウルトラ警備隊でダンばかり狙われてしまうのか?普通ならダンの正体に気づいてもおかしくないです。そこで、ファンたちにまことしやかに言われるている説があります。
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脱出したダンは、キリヤマ隊長に、これ以上の攻撃は無用と伝えた後に、燃え盛る炎の中で悶えるキュラソ星人にこう言います…
「広い宇宙でも、もう君の逃げ場はないのだ、キュラソ星人。だが、それは自業自得というべきだ。宇宙でもこの地球でも、正義はひとつなのだ!(ダン)
このセリフも台本には無いもので、撮影現場で考えられたものか、脚本の金城哲夫がつけ足したものなのか、深い謎なのです。
一説には、第7話のテーマは宇宙人の侵略ではなく、マナベ参謀の言った「地球とキュラソ星の合同捜査」ということで、「ここにセブンが入り込む余地は無い。」という鈴木俊継監督による考えにより、ヒーロー番組としては大胆なカットにつながるのではないかと言われます。



この会は、星の数ほど語りつくされまくっているので、実相寺昭雄の作品がいかに神格化され、●●的に庵野秀明から松本人志までの文化人に影響を与えたのかという、新しい視点から語りたいと思っています。ご期待ください。
<注釈>
(※1)白石雅彦『「ウルトラセブン」の帰還』2017,双葉社より
<参考文献一覧>
白石雅彦『「ウルトラセブン」の帰還』2017,双葉社
ひし美ゆり子「セブンセブンセブン アンヌ再び…」2001,小学館
ひし美ゆり子「アンヌ今昔物語ウルトラセブンよ永遠に…」2017,小学館
円谷英明「ウルトラマンが泣いているー円谷プロの失敗ー」2013,講談社