【ウルトラセブン|第36話|必殺の0.1秒】〜ウルトラ史上最弱の宇宙人とは?〜

👆YouTubeでしか語っていない部分があります👆

ねえねえ、ウルトラおやじさん…ウルトラセブンで最強と言えばどの宇宙人を思い浮かべますか?

 

幻覚によってセブンが倒せなかったプロテ星人と、セブンを磔にしたガッツ星人とかですかな?

 

じゃあ、逆に最も弱い宇宙人は誰だと思いますか?

 

え?…なんとなくポール星人ですかな?

 

セブンに一撃でヤラレた宇宙人が多いので一概に言えませんが、体が弱すぎて地球人の力を必要とする、何のために地球にやってきたのか?ツッコミたくなるそんな宇宙人がいるのですが、じつは本編ではわからない秘密の裏話があるので紹介します。

 

あらすじ

射撃大会の決勝戦…地球防衛軍屈指の射撃名人ソガ隊員と参謀本部所属のヒロタと優勝を競い合う…「すまんな、ソガ。勝ちを譲ってもらって…」「いやぁ、あれが俺の実力さ。優勝おめでとう」…優勝したヒロタ…ところが、ヒロタは地球侵略をもくろむペガ星人に魂を売り渡していたのだった。そこへ、ヒロタ・ソガは、人工太陽計画の責任者リヒター博士の護衛任務を任される。ソガは敵と相打ちになって重症を負った…同じく頬に傷をおったヒロタを見たソガはある事に気づく…

 

その169 ウルトラ史上最弱の宇宙人ペガ星人

https://twitter.com/AndroMEGA18/status/1464508325945839616?s=20

「貴様、何者だ?」

「アルファケンタウリ第13番惑星に住む、ペガ星人だ…」

「しかし、なぜ地球人を利用するんだ?」

「残念ながら、我々は地球の気圧に耐えられない」

 

地球の気圧にすら耐えることのできないペガ星人って…何しに地球にやってきたんでしょうな?

 

ツッコミどころのあるペガ星人…セブンは久しぶりに等身大サイズでの宇宙人との戦いです。

 

ペガ星人はセブンと宇宙船の中を追いかけっこした後…謎のマシーンでセブンにビームを浴びせて抵抗するもの、エメリウム光線であっけなくやられてしまいますな。

 

エメリウム光線を浴びた時、膨らんで死んでしまいますが…本当は脚本上では、ウルトラセブンとペガ星人は戦うことなく、巨大化したセブンが円盤に体当たりして、空気の隙間ができて気圧に耐えれないペガ星人は、膨らんで死ぬという…第7話のキュラソ星人よりも、あっけない最期だったのです。

なるほど、ペガ星人が膨らんで死ぬのは地球の気圧で死ぬ名残ですな。つまり「気圧に耐えられない」というセリフは、まさに死亡フラグだったわけですな…

 

脚本の変更は、本36話の監督をつとめた野長瀬三摩地監督によるものだと言われます。脚本では、ペガ星人の目的もはっきりせず、ただのソガとライバルヒロタの対立するきっかけをつくるだけのダシみたいな存在でした。

 

最弱とか、ダシとか散々な言われようで…かわいそうなやつですな。

 

その170 円谷プロの悪いジンクス

「優勝おめでとう、ヒロタ君」

「お前は夕べの…」

「君の望み通り、勝たせてあげたよ…」

「じゃあ、俺が勝ったのはお前が…」

「そう、夕べ君は、優勝できるなら友達を裏切っても、魂を悪魔に売ってもいいと言った…」

「俺はそう言った。お前は、俺の何が欲しいのだ?」

野長瀬監督は、脚本になかったこのペガ星人のセリフをつけ加え、「必殺の0.1秒」は悪魔に魂を売った防衛軍エリートの屈折したヒロタの心とソガの友情の葛藤をえがいた人間臭いドラマにつくりあげたのでした。

 

レギュラー隊員の個性を深掘りした作品づくりは、野長瀬監督が脚本も書いた、「明日を捜せ」と同じく名作ですな。ただし、浮かばれないラストは、いつもひと笑いでホッとしたエンディングの監督の演出とは少し違いますな。

 

初代マン・セブンと円谷プロの主力監督としてメガホンをとってきた野長瀬監督でしたが、じつは、セブンと同様に、制作第1号、2、3…と監督したマイティジャックが不評だったがゆえに…じつはこの「必殺の0.1秒」を最後にウルトラマン80まで、円谷プロ作品とは12年間のブランクが開くことになるのでした。

 

ぐぬぬ…ここにもマイティジャックの影が…

 

同様に、第1話の出だしから不調で、作品が打ち切りとなったことで、円谷プロを離れることになった悪いジンクスは、作家金城哲夫に待ち受けるわけですが…これは最終回「史上最大の侵略」にて、傷ついたセブンに隠された金城哲夫のおもいを語る際に詳しく話します。

 

その171 目立ちたがりのソガくん

「必殺の0.1秒」は射撃の名人であるソガの主役回です。ソガ隊員役の阿知波信介さんは、出演者には、鼻の指を擦ったり、頭をかいたりと小芝居をよくしていたと言われます。

 

キリヤマ隊長の「なにぃ?」に並んで、劇中でどれだけやっているか数えてみるのも面白いかもしれませんな。

 

ウルトラセブンのキリヤマ隊長の口癖「なにぃ?」は、ファンの間で有名な話ですが…ソガの小芝居は、あらためて注目してみると新たな発見があって面白いかもしれませんね。それは、ソガ隊員が3枚目のおもしろキャラである設定が関係しているかもしれません。

 

え?ソガって3枚目なの?

 

と思った方は、第27話の過去動画にて詳しく語っています。ソガはどうしてか2枚目の演技になりがちだったので、出演者、スタッフからは2.5枚目とか、よく言われてしまっています。

 

「必殺の0.1秒」はそんなソガには、うってつけのスパイアクションものでしたな。

 

他の隊員がアップになるシーンで「いいなぁ」と呟くくらい、俳優として画面に映りたいおもいが熱かったようです。

 

その172 射撃の名人はもはやオワコン?

 

未来の物語であるウルトラセブンの世界で、あえて、なぜ火薬式のリボルバー拳銃なんですかな?

 

という素朴な疑問がありますね。これには二つの説が考えられます。セブン放映時、007に代表するスパイブームがありました。ピストルを撃つジェームズボンドのオープニングはじまり…時に未来式の武器が登場しながらも、銃撃戦では火薬式銃が使われ、銃口から火を吹き、銃声の飛び交う、手に汗握るシーンとなりました。

 

「ウルトラ警備隊西へ」のはじまり部分は、まさに007のハードボイルドでしたな。

 

次に、第11話の過去動画で語ったように、西部劇ブームが影響しているかと思います。ラストシーンでソガとヒロタの決闘は、まさに西部劇にあるあるの決闘シーンですね。

 

あのドラえもんのび太くんも、射撃の名人だけど、なぜかピストルですな…

 

帰ってきたウルトラマンから、ウルトラマンシリーズでは、防衛隊員の携帯する銃は、火薬式が定番になりましたね。もしかしたら、火薬式銃はテレビ向けなのかもしれませんね。

 

ところで、最近は射撃の名人とか「ガンマン」とかいう、言葉はあんまり聞かなくなりましたな…昔は、テレビの刑事ものでは、クライマックスは犯人との銃撃戦は定番だったのですがな…不況のせいですかな?

 

時代劇の衰退とともに、アクションドラマも何だか見なくなりましたね…特撮に限らず、CGで予算を安く抑える傾向があるのかも知れませんね。

 

寂しくなりましたな。

 

ということで今回の動画は終わりになります。次回は怪獣のでない3部作の第二段「盗まれたウルトラアイ」…

 

かなりディープな話になるので覚悟して観てくださいね!