【ウルトラセブン|第18話|空間X脱出】ウルトラアイは変身に必要ないとは?

ウルトラマントリガーやウルトラマンデッカーなど、街に出現した怪獣から逃げるシーンなど、ウルトラマンシリーズでは、野外ロケは多くの見学者が集まる事は、いまも昔も変わりませんでした…

今回の擬似空間のロケは、何も「川口浩探検隊」ばりに、アマゾンの奥地での撮影では無く…なんと東京都内で行われたのでした。

 

 

あらすじ

ウルトラ警備隊たちの月に一度の特別訓練があった。ところが、スカイダイビングをしたソガ・アマギは行方不明となってしまった。

マナベ参謀はロンドン支部で起こったある事件が頭をよぎった。巨大な吸血ダニにクモ…そして謎の亡霊のような宇宙人に…

ソガとアマギはサバイバルを生き残ることができるのであろうか?

その88 もう2度とできない!ヤバい疑似空間ロケ

初代マンではジャングルを探検する物語は、初代マン第8話「怪獣無法地帯」や第26話「怪獣殿下」などあり、帯状の葉っぱをした怪奇植物スフランがにゅーんと伸びてきて、人が襲われるシーンが印象的ですが…まさかのここにきてウルトラセブンでの唯一のスピンオフ怪獣となりました!?

また、ソガとアマギは巨大なダニやクモに襲われ、サバイバル感が半端ないのですが、じつはジャングルのロケは東京都内で行われました。カメラの後ろには、たくさんの子どもたちのギャラリーが、クモンガに襲われるアマギを観ているシュールな記録写真があります。

セブンの野外ロケには多くの子どもたちが寄ってきたそうです。なので、火薬や煙を使うロケでは、子どもが見学に来ないように細心の注意をはらう必要がありました。SNSは無くとも、新聞の投書には、初代マンが3分以上戦っているなど、投稿されたりしたそうなので、もし子どもがやけどでもされたら円谷プロの経営の危機となりかねなかったのでした。

とはいえ、古き良き昭和60年代…いまではヤバい撮影裏話を森次晃嗣は語っています。

詳しくはYouTubeにて語っています!

 

その89 本当にあった!?疑似空間の都市伝説 

前回も「地底空洞説」にて話をしたアメリカのリチャード・バード海軍少将の「ハイジャンプ作戦」にまつわる都市伝説は、ベル星人の疑似空間に似ています。

https://twitter.com/jigen99/status/1419091424889344001?s=20&t=9ureYdnR5RVEAydCEiUwZA

 

米ソ冷戦時代の1946年、リチャード少将は、北極の制空権を米軍がとるために、アラスカから北極点上空まで行き、Uターンしてくる作戦を行なっていました。ところが、2700キロのところで霧に包まれたかと思えば、白い氷の世界だったはずが、あたりにはジャングルのような亜熱帯の植物が広がり、外気は摂取20度と信じられない現象が起きてしまいました。アマゾンの奥地のように、大河が流れ、そばにはマンモスのような既に絶滅した生き物が歩いているのを目撃したそうです。

一度ならず1956年にも、リチャード少将は南極上空を飛行中に、白い霧に包まれて緑色の大地が現れました。白い霧は異世界に通じているのか?ベル星人の擬似空間のような都市伝説は、戦後多く目撃されていたのかもしれませんな。

 

その90 スカイダイビング撮影は特撮

第18話の見せ場は、パラシュートを背負って、上空からのスカイダイビングでした。

「俺に続け、行くぞ!」とキリヤマ隊長を先頭に、アンヌ、ダン…と続いて飛び降りていきます。

パラシュートの装着については、本物の自衛隊の方から指導を受けたそうです。ちなみに、飛行機から飛び降りるシーンの撮影は、飛行機の機内のセットから頭が見えないように、ジャンプして床にしゃがんむシュールな光景だったそうです。

 

ところが、フルハシは頭を屈ませるどころか、スタスタと歩いて出てしまって、その場は大爆笑でしたが、カットされています…このフルハシ隊員を演じた現在の毒蝮三太夫さんには、様々なウルトラ伝説が残っているわけですが…

空をとぶソガとアマギを撮影した方法はスコッチバックとよばれました。第3話「湖のひみつ」にて、モロボシダンが宇宙怪獣エレキングを見上げるシーンもそうですね。

人物の背景のスクリーンに映像を投影して、それを撮影することで合成映像を完成させる「スクリーンプロセス」といわれる撮影方法です。はじめはスクリーンの裏側から撮るなどしていましたが、ミラーを使うことで正面から撮影する事ができるようになったのですが、映像を観てわかるように、スクリーンが汚れがみえるなど、スタッフは納得のいく画が撮れなかった事から、後半からは使われなくなったそうです。

 

その91 犬猿の仲?アマギとソガ

第18話はアマギ隊員とソガ隊員、珍しい組み合わせの2人が協力してサバイバルを生き残る物語です。アマギとソガは、ソリが合わないのかよく喧嘩しています。第37話「盗まれたウルトラ・アイ」では、「奴と話していると頭にくる…」ってな感じで、無線でアマギとソガが言い争いをして、フルハシが見るにかねて「いいかげんにしろ!」とアマギをとめるシーンがありました…

さて面白いことに、そんな犬猿の仲にあるアマギとソガは、たった2人だけ残念なことに、ベル星人の疑似空間に迷い込んでしまいます…

ソガとアマギ、タイプの異なる2人の、面と裏、性格の両面性を見ることができる面白い回ですな。

「俺に続け!」という隊長のかけ声に、スカイダイビングが怖すぎて、返事のできないアマギ。そんな様子を見ていたソガは、茶化しながら一緒に飛び降りるのですが…

擬似空間に迷い込むと関係が逆転!急に不安になるソガ…「いざという時のためにエネルギーを蓄えておくんだ」と冷静なアマギ。スピリチュアルや迷信を信じるソガは、普段は明るいお笑いキャラなのに、意外と落ち込みやすいギャップがいいですね。

ソガのキャラが2枚目半問題は、第32話「必殺の0.1秒」にて語ります…

アマギはというと、クライマックスでベル星人がセブンに敗れて、擬似空間が消滅する時、帰ってこないモロボシダンを探しにアンヌが出ようとしたところを、「危ない!もう間に合わん!」と、冷たい一面が…第15話にてペダン星人の言葉を信じないなど、クールさが、メインプランナーなのかもしれませんが…

 

アマギ隊員は第11話にて、モロボシダンの命の恩人となるので一概には言えませんな…

個人的には、アマギ隊員がブーツから取り出した、キャラメルサイズの非常食が子供の頃に気になりましたね。

 

 

その92 実は万能?ウルトラ警備隊の制服

アマギは巨大な吸血ダニが身体中に飛んできて、グローブから出血して、アマギは絶叫してパニックとなってジャングルを逃げ回ります!しかし、身につけている制服からはとくに出血はありません。

かと思えば、底なし沼に溺れかけるソガ…ずぶ濡れだったはずが…次のシーンでは乾いています。ウエットスーツ機能でしょうか?

第4話「マックス号」では機密服を着なくとも、宇宙遊泳することができるなど、ウルトラ警備隊の制服に秘められた超高い機能性について解説しました。

フルハシ隊員役の毒蝮三太夫さんは、見学に来た子どもたちに

 

その93 ウルトラセブン繊細すぎ問題

時には透視能力、鋭い聴力や感性によって、敵の正体を暴いたりするウルトラセブン…しかし、それが時として仇となる場合があります。

https://twitter.com/navyblueaoao46/status/1418733323967295488?s=20&t=9ureYdnR5RVEAydCEiUwZA

 

セブンの聴力は何キロ先もある針が落ちた音も聞き分けるくらい、敏感であるがゆえに、ベル星人のモスキート音のような特殊な音の攻撃にやられてしまいます。

ベル星人は名前にあるように、耳鳴りのするような音を鳴らして、相手の頭脳を狂わす宇宙人です。といっても、スピーカー越しに聞こえてくるベル星人の音に、ケロッとしたアンヌの隣で、飲んだ次の日くらいに頭を抱えるモロボシダンを見ていると、もはやモスキート音(※1)ですな。

(※1)ある一定の年齢にしか聞こえない高い音

その他にも、人間並みに寒さに弱いウルトラセブンは、意外と…

 

その94 ウルトラセブン掟破りの変身問題

ウルトラセブンをシビアに観ちゃうとアレレ?なところは第17話のモロボシダンドッペルゲンガー問題もあるのですが、第18話にて、さらに、とんでもない事が起こります!

ベル星人の高周波攻撃に身動きが出来なくなった、モロボシダン…苦しみ悶え…もうここまでか!?とはらはらしていると、腕をクロスさせたかと思うと、光になって…ま・さ・かのウルトラアイなしで変身してしまいます??

https://twitter.com/SEKI00340111/status/1345324365907312641?s=20&t=9ureYdnR5RVEAydCEiUwZA

 

ウルトラアイは、ウルトラセブンの最大の弱点であり、これまで十数話のなかでも、モロボシダンは度々ウルトラアイを盗まれたり、使用不能になったりして、ウルトラアイが使えずセブンに変身できない事がドラマの山場となっていました…なぜ、こんな事に?

これまでを振り返ると、モロボシダンがアレレ?な変身の仕方をする回が幾度かありました。

第1話 ウルトラアイがどこからか飛んできて装着

第5話 腕をクロスするとなぜか装着、その後牢屋を脱獄

第17話 リモコンでウルトラアイが飛んでくる

第18話 まさかのウルトラアイなしで変身

第33話 これも掟破り?の1話で2度変身

第34話 変身カットなし

共通して円谷一氏が監督をつとめる回です。円谷一氏については、詳しくは第5話にて解説しているので、そちらを観てもらいたいのですが、ユニークなセブンの変身演出は、円谷一らしい実験的な試みですね。

第18話を脳内補完すれば、おそらくウルトラアイは、非常時は顔に装着せずとも、懐にあれば、緊急発動してくれる事もあるのかもしれませんな。
後の「ウルトラマンレオ」のモロボシダン隊長の苦悩を考えると、そこの辺りの脳内補完は大切ですね。

ところでベル星人はなぜ、疑似空間をつくって、罠をはって獲物を捕まえるようなことをするのか?はたして地球侵略が目的なのか?ただ、亡霊のような存在でしかないのか?謎がおおい星人ですね。

次回の第19話「プロジェクトブルー」にてバド星人の年齢がウルトラマンキングなみに寿命が長すぎるくせに、けっこう弱い、ウルトラセブンの宇宙人の生体が謎すぎ問題をとりあげます。お楽しみに!

 

ところで、今回助かるきっかけとなったのは、ビデオシーバーでした。この謎に、故障しやすいくせに、高性能なウルトラ警備隊の時計型ビデオ電話についても語っていきたいと思います。

<参考文献>
白石雅彦『「ウルトラセブン」の帰還』2017,双葉社 森次晃嗣・ひし美ゆり子『ダンとアンヌとウルトラセブン』2021,小学館