【ウルトラセブン|第26話|超兵器R1号】ギエロン星獣の都市伝説とは?

※詳しくはYouTubeにて語っています!

ねえねえ、ウルトラおやじさん…ウルトラセブン解説動画も、ついに3クール目に突入!番組も後半戦です!
視聴者のみなさま。いつも、ご視聴ありがとうございます。ぜひ後半もお楽しみに!

10月1日のウルトラセブンの放映記念日に、各動画で未公開シーンや問題シーン、ファンの間での噂など、あらためて集まった情報をもとにバージョンアップしていきたいと思っています。

また最近、ウルトラセブンの最新情報もとに番外編動画をつくっておりますが…そのうち、本編から外れた内容は、ウルトラおやじさん抜きで考えているんですよね…
ここにきて、戦力外通告ですか??
うぷ主の母は、「ウルトラファイト」をしてみたいと考えているようですが、どんな形になるかはお楽しみに!
さて、第26話「超兵器R1号」は言わずと知れたウルトラセブンの名作中の名作ですな。

モロボシダンの演技も、前半部の新人らしい初々しさや、少年モロボシダンの初期設定の名残りなど、かわいい、子供っぽい演技に比べて、後半にはいると演技も熟練され、シリアスな演技に引き込まれていきます。

 

ストーリーもよりハードな内容になっていきますな。

撮影スタッフは予算不足に苛まされ、視聴率は低迷はどんどん加速してしまいます。それに負けじと子供番組とは思えない、物語が次々と誕生していきます

 

ところが「超兵器R1号」「ノンマルトの使者」…ウルトラセブンにおいて名作と呼ばれる作品には共通して、あるとんでもない真実がある事について解説してまいります!

 

あらすじ

地球防衛軍は恐怖の惑星攻撃用超兵器「R1号」を実験のため、シャール星座第7惑星ギエロン星にむけて発射。

ギエロン星は完全に粉砕されるが、巨大な生物が地球に向けて飛来する。

新型ミサイルによって、あっけなくバラバラになった事に、ダンとキリヤマに悪い予感がよぎる。

復活したギエロン星獣は、放射能を撒き散らしながら東京にむかって進む。

 

米ソでくりひろげられた軍拡競争を連想される、人間の狂気とエゴをえがいた傑作の秘密とは?

 

その128 ウルトラセブンの社会派は●●の産物?

第26話「超兵器R1号」は、ウルトラセブンの全49話のなかで、必ず語られる名作ですね。

「…それは、血を吐きながら続ける…、悲しいマラソンですよ」

モロボシダンの台詞は、一言で物語のテーマを語っていますな。

しかし、本26話の脚本を担当した若槻文三氏は、テーマ性の強い作家ではないと評価されています。とはいえ、若槻氏は第6話「ダーク・ゾーン」のように、国際問題をテーマに感じますね。

そもそも、若槻文三は、実相寺昭雄監督と名コンビをつとめる、脚本家佐々木守氏と比べて、ドラマの味付け程度であって、はじめから社会風刺を好んで書く作風ではないからだそうです。

ところが、「ダーク・ゾーン」のペガッサのように、ギエロン星獣は人間のエゴのために、悲しい運命をたどり、ウルトラ警備隊の戦いは、後味の悪いものとなりました。

冒頭のモロボシダンの苦悩、そして核実験の被害者となったギエロン星獣の物語は、キューバ危機より5年後の時代背景もあって、どうしても米ソの軍拡競争を連想させてしまいますな。

ウルトラセブンの名作は、「ノンマルトの使者」もしかり、製作者の意図と関係なく、完成した作品が社会派な名作として高い評価を受け、後にメディアの勝手な解釈で…

※詳しくはYouTubeにて語っています!

作家や監督がじつは、意図していないのにもかかわらず、完成した作品が当時の政治や社会に対する問題定義したようにみえてしまったようですな。

その129 ギエロン星獣の有名な都市伝説

故郷であるシャール星座の第7惑星を破壊され、復讐に燃えるギエロン星獣…

ウルトラおやじさん、ファンの間では、ギエロン星獣の鳴き声は何か言っているように聞こえるという、有名な都市伝説があるのですが、知っていますか?

ギエロン星獣は、「助けて」という声が聞こえるとファンの間ではよく語られますね。
こ、こわい…
あくまで、ファンの間の噂ですからね。

シャール星座って聞いた事ないですが、実際に存在する星座なのですかな?

調べてみたんですが存在しないようですね。ウルトラセブンの故郷、M78星雲もおなじく初期設定では、他の企業が商標登録していたらマズイということで、架空の星系を出身地にしたら、実在していたという逸話がありますね。

それにしても、なぜ再生怪獣なのに最後はやられたんでしょうね?最大の謎ですな。

温度270度、酸素0.6%の金星と似た燃えない灼熱地獄と生命は存在不可能であろうと思われていた場所に生息して、とんでもなく強い生命力をもった生物ですしね。

新型水爆8000個分の爆発に耐えて、ウルトラ警備隊の新型ミサイルで攻撃されて体がバラバラになっても、アメーバのように蘇生してしまう。ウルトラの中でも上位にくる最強怪獣ですかな?

https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AE%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%B3%E6%98%9F%E7%8D%A3

一説にはギエロン星獣の弱点は頸動脈で、鳥のような姿は外骨格で、本体は再生中に見えた黄色い液体で日光に弱かったという説が言われています。

ラストでセブンがアイスラッガーで喉をかっ斬って、黄色い体液が顔に返り血のように当たるシーンは印象的ですな。

なるほど、ところで劇中ではウルトラホーク3号で新型ミサイルで攻撃するようにキリヤマ隊長が指示を出すけど、見たら爆弾なんですよね…子どもの頃は、ミサイルと爆弾の違いを勘違いしたんですよね…

ミサイルと爆弾の混同については、セブンでは別の回でもありましたな。

他にも、多量の放射能に浴びてしまったモロボシダンの治療を除染ではなく「消毒」と言っていたりと気になるところがいくつかあるわけですけど…それよりももっと気になる美人博士についてみていきましょう。

 

その130 美しき●●田村奈巳

美しきマエノ博士を演じた田村奈巳さんは、第1期ウルトラシリーズではお馴染みのゲストです。ウルトラQの第5話「ペギラが来た!」にても、美しい南極観測隊隊員を演じて、ゲスト出演とはいえ、その美しさに強い印象が残りますね。

田村奈巳さんは、東宝所属の女優さんで、その美しさや包容力から東宝ではミューズ(女神)とよばれ、岡本喜八さんや円谷一監督など、名だたる監督から愛されていたと言われ、伝説の女優さんなのです。

ところが、初代マンの第35話「怪獣墓場」にて、実相寺昭雄監督の演出でヤバい事になったのはご存じですか?

え?誰このぶ…瓶底眼鏡の女性は誰ですか?

なぜ、実相寺昭雄監督が、なぜ田村奈巳さんみたいな綺麗な俳優さんに、こんな格好をさせたのか、出演者の間でも「美人の田村奈美さんがなぜ引き受けたのだろう?」と動揺が走ったと、田村奈美さんと桜井浩子さんは当時を振り返っています。

くるくるメガネをかけさせられて、これでもかとアップに撮影されて、さらに高い不思議なトーンの声で、癖が強すぎて、もはや本人とは思えませんな。

実相寺監督だから…と、共演者たちは口々にその様子を見ていたらしいです。しかし、そんな奇をてらう演出でも快く引き受けたからこそ、田村さんは多くの有名監督に愛されていたのではないでしょうか?

田村奈巳さんについては、桜井浩子さんのYouTubeちゃんねるにゲスト出演されて、当時の話を聞く事ができます。

田村奈巳さんの演じるゲストキャラは、Qでは、恋に盲目な南極隊員、初代マンではクセの強いメガネ博士、セブンでは恐怖の破壊兵器の開発に協力する博士とヤバい役が続いているのですな?

といっても、マエノ博士は生物専門の学者であって、ギエロン星獣に対して同情的で、「何もかも、あたくしの責任です」と繰り返し劇中に言っていたので、別にマッドサイエンティストとかではないんですよね。

モロボシダンの目線でいえば、人類に対する救いがある人物でもあるわけですね。

 

その131 予言「シン・ウルトラセブン」は「超兵器R1号」をオマージュする?

ウルトラセブン55周年記念サイトにて、ウルトラセブンを次のよう説明しています

https://seven55th.m-78.jp

まさに「超兵器R1号」の物語が象徴していますな。

第26話が名作とされる所以は、何も軍拡や核抑止などの社会派を連想させる物語だけでなく、モロボシダンことウルトラセブンの地球人たちの愚行とセブンの平和を守る目的が揺らいでしまう…ヒーローの葛藤がうまく書き起こされていることからです。

奇しくも、同じく若槻文三が以前書いた「ダーク・ゾーン」においても、モロボシダンは地球人と異星人の存亡を第三者として、複雑なおもいを見せる場面があったわけですが…ペガッサシティ救助作戦に対しては一喜一憂するだけで、謎に「かわいい」と感じるだけで、取り残されたペガッサ星人に対しては無慈悲にアイスラッガーで追い払ってしまい、地球人に偏った行動をとります。

【ウルトラセブン|第6話|ダーク・ゾーン】アンヌの私室が丸裸にされた内緒の話とは?

ひし美ゆり子さんによれば、男性美術スタッフが想像を膨らませて作ったそうです。「…ん?本編にこんなシーンはなかったよね?」と、思った方。このように本編には出てこない写真は、ドラマ撮影以外で、撮影された「スチール」と言われる、いわゆるイメージ画像なのです。

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この疑問はあらためて、「ダーク・ゾーン」を撮り直す際に、語り直したいところですな。

 

対して、「超兵器R1号」では、惑星破壊兵器を開発、実験を行い、専守防衛の能力を身につけてしまいそうになる地球人に、さすがにM78星雲人として、地球人のとった行動に対する政治的な判断を突きつけられたように感じます。

深掘りしていくとかなーり政治的な考察になってしまうので、慎重に述べていきたいところですが…

劇中でモロボシダンは、度々、侵略者に対してウルトラセブンは「ぼくは地球の平和を守るために働くんだ」と言っています。なので、あくまで地球より優れた科学力をもつ侵略者たちから、一方的に侵略行為を受けた場合にセブンが代わりに戦うという前提があります。

ところが、「ダーク・ゾーン」と「ノンマルトの使者」では、侵略目的はなく、互いの存亡がかかった場合に、セブンは地球人の味方をしてしまうという、おそらくは M78星雲の掟に反する行動をとってしまいます。

もし「シン・ウルトラセブン」があるとすれば、この「超兵器R1号」の物語はマストですな。

この物語では、M78星雲人として、セブンがとるべき立場を逸脱した理由を説明するキーワードが出てきます。

モロボシダンが人類のためには、本来は人類と戦うべきだったという、M78星雲人として厳しい立場を物語る台詞ですな。

 

平成に復活したウルトラセブンの物語で、こうした地球人を擁護してしまったセブンの矛盾を回収するような内容でした。

とくに「地球を愛しているから…」という言葉は、初見はおそらく「超兵器R1号」であるわけですが、この言葉が平成セブンの劇中で重要なキーワードとなっていきます。

ネタバレの無いように説明するのは難しいですが、平成セブンでは、地球人は実は侵略者であったという「ノンマルトの使者」の物語を補完するストーリーがあって、セブンは難しい立場に追い詰められてしまいます。

とはいえ、セブンは、地球人がいかにエゴであっても「地球を愛しているから」、時として宇宙の掟に叛いてでも地球を守るという信念を貫く物語があります。

平成セブンは後期にかけてストーリーが暗くて、重いからちょっと観れてないですな…

という方もおられると思います。そこは、昭和のウルトラセブン本編のつくられ方が、SF作品として、あくまで風刺的な話として、救いのある物語としてバランスの良さがいいのかもしれません、それを裏付ける裏話があります。

 

その132 メディカルセンターのリスがヤバい

物語でモロボシダンが「血を吐き続ける悲しいマラソン」という有名な台詞を言った、メディカルセンターの場面で気になるのは、ハムスターのような小さな動物が回し車をカラカラとずっと走り続けるシーンですな。

籠の中の生き物は、ペットとしては珍しいですが、リスなんです。前回の凍結怪獣ガンダーのスーツアクターの方が飼っていたのを円谷プロが引き取ったくらい、物語の要となる存在でした。

「地底へGO!GO!GO!」のチュー吉といい、意外とセブンには「ちいかわ」なゲストがけっこう出てきますな。

「ちいかわ」をおすのやめて!

このリスを見つめるモロボシダンには、じつはセリフがありました。台本では以下のように物語が終わります…

※詳しくはYouTubeにて語っています!

ご存知の通り、完成作にはモロボシダンの声はありません。ただリスを見せて視聴者に考えさせる演出となっています。ところで、この回し車を走り続けるリスがモロボシダンの「血を吐き続ける悲しいマラソン」のメタファーを意味することはわかりますか?

もし仮に、この台本の通りダンのモノローグで終わっていたら、完成した作品より後を引く重苦しい作品になったかもしれませんな。

ところで、モロボシダンがなぜフルハシに「地球を守るためなら、何をしてもいいのですか?」とつめよったのかわかりますか?
え、あまり考えてませんでしたが。
一応、フルハシは設定上は、副隊長的なポジションなんですよ。
ええええ、わかりませんでしたな。
本編でもソガに「先輩」と言われる場面があったりしますよ。
どちからかというと、おとぼけな場面が多いから意外に思われるですな…

さて、次回第27話の「サイボーグ作戦」では、本編と大きく違った幻のシナリオ、本編とちがうゲスト隊員野川と恋人の悲しい結末、ザンバ星人からボーグ星人の変更の謎を追っていきたいと思います。お楽しみに。