※YouTubeでしか語っていない部分があります!




https://mainichi.jp/graphs/20220707/mpj/00m/040/058000f/1
博物館級の値段なのです。まあ55周年も経てば、もはや歴史的史料としての価値がついてくるのは必然ですね。なかでも、放送で使われなかった未使用シナリオと呼ばれる、幻となった話の脚本はプレミアがついています。

今回も、残念なことに映像化しなかった、幻のシナリオを紹介します。「サイボーグ作戦」では、ハッピーエンドでしたが、サイボーグとして改造されたのに、どうして野川はもとの人間として幸せに暮らしていけるのか…

じつは台本を見ると、もっと面白い内容の物語であった事がわかりましたので、紹介したいと思います。
あらすじ
ソガの友人であり、地球防衛軍の通信隊員野川は、婚約者のサナエを連れてアサヒ沼をドライブしていた。
ところが、湖から表れた宇宙船に野川は拉致されてしまった。
野川はボーグ星人により、サイボーグにされてしまう…。
その133 登場宇宙人はボーグ星人ではなかった?
ウルトラセブンの宇宙人や怪物は、後に怪獣図鑑のなかで名前が後づけされたり、詳しい設定がつけたされたりと、本編終了後に紆余曲折する事がよくあったのはご存じですか?

そのせいで、いまでいう炎上が起こって、作品が2度と観れなくなったとかなかったとか…あえて言及しませんが。
そのパターンとは違って、ボーグ星人は台本と本編で、名前は違っています。もともと脚本では、ザンバ星人でした。

いえ、それはザンパ星人ですね。いずれにしても、沖縄出身のセブンのメインライター金城哲夫が名前を着けたという事がわかりますね。

ザンバ、ザンパは、沖縄の残波岬という名所の地名に由来するといわれます。
へー3月8日は残波の日だったんだ。
行きつけの飲み屋で「残波トニック」を定番にしている自分としては・・・なんか飲みたくなっちゃったな。ついでにウルトラセブンのザンパ星人の日に・・・(←映画「道」に登場するザンパノからだから関係ない。ウルトラセブンは1967年、残波の発売は1980年だ) https://t.co/55nabXNQRj pic.twitter.com/mGHqj2LFRl
— 桐原剛造 as シューン (@mutosenjinshun) March 10, 2021

さすが親父ですね。他にもチブル星人は、沖縄の方言で「チブル」は頭を意味するからだそうです。
第27話は台本と撮影された本編とは、大きく内容変更があった作品なのですが、詳しくは終わりに語ります。
その134 一般隊員にいじられるソガの秘密
詳しくはYouTubeにて語っています!
ソガ隊員は、本当は初代ウルトラマンのイデ隊員のように、3枚目のおもしろキャラとして、初期設定が組まれていました。ところが、ソガを演じる阿知波信介さんは、2枚目の演技をしてしまいがちだったそうです。
メイン監督としてシリーズ全体をまとめていた満田かずほや、ソガとよくコンビを組んでいたダンこと森次晃嗣さんは、彼の演技は2.5枚目と苦笑いして振り返ります。
阿知波 信介(あちは しんすけ、1940年3月21日 - 2007年5月4日)
『ウルトラセブン』ソガ隊員は不滅の役柄。それ以降は大成する事なく、俳優業を引退する。
三船プロダクションに入り、新人女優だった多岐川裕美のマネージャーとなる。その多岐川と結婚し(後に離婚)、娘でタレントの華子を育てた。 pic.twitter.com/V1ujK6hVUm— さくら便り (@K1aISji55ZJLjHf) March 20, 2022

まあ、そうでもなく、3クール以降、フルハシとのかけ合いでは、けっこうおどけた感じを見せていたりもしますよ。

詳しくは言いませんが、撮影裏での毒蝮さんのおふざけが本編にも映ってしまったのかもしれませんね。そこに●●がくだったようなエピソードがあります…

アンヌを演じるひし美ゆり子さんによれば、出番の少ない回だったと振り返ります。じつは、北海道の小樽に営業に行っていたそうです。


ウルトラセブンと一緒に怪獣と戦っていますね…アンパンチならぬアンヌパンチですか?
積もっている雪からわかる通り、この回の撮影は、1968年の1月末から2月始めだったそうです。
アンヌは、遠方で極寒の北海道に2人だけしか営業に行かないと不満だったそうですが…お酒にご馳走…最高の思い出になったそうですね。
ところで、フルハシがアクアラングを着て潜るシーンがあったのには覚えていますか…?
野川を捜索するために、フルハシが湖に潜るシーンがありましたな。
何気ないシーンですが、何度も言いますが撮影は極寒の2月…フルハシを演じる毒蝮三太夫さんは、冷たーい湖に潜らされ氏にそうな思いをした、無謀な撮影をいまだに苦い思い出として語ることがあります。
なぜ、わざわざ潜らせたんでしょうな?お灸をすえるため?
あまりの寒さに旅館の風呂に直行したそうです。まあ、フルハシのエピソードは追々話ます。
その136 エ●い隠れた昭和
婚約者サナエを演じたのは宮内恵子さん。後に、牧れいと改名され、「緊急指令10-4・10-10」「レッドバロン」などにも出演しています。か弱き婚約者を演じてますが、バリバリにアクションができる強い俳優さんです。

これは真知子巻きという、1953年放映の映画「君の名は」で爆発的に流行った昭和を代表する伝説のファッションです。

ラストシーンで教会での結婚式をあげて、ライスシャワーを浴びて、ブーケとすをするのは、変わらないシーンですな。
いま、ウルトラセブン第27話「サイボーグ作戦」エンディングの瀬田教会に行ってきました!先々週の日曜放送前は取材で断念しましたが、深夜の一挙放送のタイミングで本日訪問。急な坂を上るとあのシーンそのままの光景か拡がっていました😊 pic.twitter.com/WeCDZP25aG
— 青山通・著『ウルトラ音楽術』集英社📚『ウルトラセブンが音楽を教えてくれた』新潮社🖋5,6作執筆中 (@navyblueaoao46) October 9, 2021
最後には、カンカンをいっぱいつけたオープンカーで走っていくシーン。ブライダルカーとも言われますが、昭和のアニメでよくみたりしましたが、あまり見なくなりましたか?
「撮影時期は、確か2月頃でした。実をいうと、出番の少なかった私と古谷さんは、北海道の小樽に営業に行っていたのです。」(ひし美ゆり子さん談)
という理由から、瀬田教会でのラストシーンに、アマギとアンヌ、両隊員の姿はありません。#ウルトラセブン #サイボーグ作戦 pic.twitter.com/tGpxLJiRBe— S.murakami (@shunmura0607) April 6, 2021
あれ?ウルトラマンティガでもこんなシーンなかったかな?あの時はどうだったかな…
物語はハッピーエンドとなったのですが、じつは台本では、どちらかというとバッドエンドだったのは、この後語ります。
ところで、スカーフといえばサイボーグ009や仮面ライダー…石ノ森章太郎ですな?
その137 日本エンタメのサイボーグの歴史



「攻殻機動隊」のTVアニメも放送されて、15年以上経ってしまいましたな。
え、ちょっとそれはショックですね。
ウルトラセブンの世代では、1968年にTVアニメ化された「サイボーグ009」が思い入れ深いかもしれませんな。
サイボーグ009白黒版のEDです(≧∇≦)これも「勝手にリマスター」してます♪ pic.twitter.com/gQuhshw8aw
— おとちゃん (@gratemazinger) July 26, 2020
その後、70年代に放送された「仮面ライダー」はウルトラの永遠のライバルとなりましたね。
仮面ライダーシリーズは、平成以降、長期にわたって放送が続く人気作ですね、いまでこそ、子供向けにポップで明るい作品ですが、もともとはホラー作品で 、生々しい改造手術のシーンからはじまる、子供向けとは信じられない作品なんですよね。
テレ朝チャンネルの仮面ライダー大百選視聴ちう☝️
久々に旧1号編第1話観てるけど、本郷猛が改造手術後に5万ボルトの電流を流される実験シーン、
「並みの人間なら一瞬で黒焦げの死体になる」
とか言っちゃってるけど、そこら辺で売ってるスタンガンでも250万ボルトとか普通にあるんですが…(^ω^;) pic.twitter.com/6fhWAzkxsF— ジェットビートル (@myshinzan1990) April 28, 2021
主人公は、悪の秘密結社に拉致されてしまい、改造手術を施される。しかし、体はマシーンにされても、脳や精神が犯される前に逃げられたので、復讐のために戦うという流れが初期の仮面ライダーでした。
これは、学生運動が盛んだった時代、就職した途端に社会に迎合してしまった、サラリーマンたちをショッカーとして揶揄して、はみ出た存在として仮面ライダーを書いたとか、書いてないとか…
それにしても、サイボーグとして改造された野川は、なぜ最後に何もなかったかのように終わったんでしょうな?
まあ、そこの違和感もあったり、この回の作品全体のつくりに対する評価は、辛口になりがちなのですが、それには理由がありまして…
その138 バッドエンドからハッピーエンド
脚本を書いた藤川桂介氏は「気持ちが乗らなかった」と振り返っているように、あまり納得のいく作品ではなかったそうです。
以前、第16話にて解説したように、金城哲夫とTBSの不協和音に原因がある事を話しましたな…
藤川桂介が書いていたシナリオ「半人間」は視聴者が期待するような味のあるストーリーでした。
もうすぐウルトラセブン第27話「サイボーグ作戦」ですね! 最後にちょっと突っ込み。
・ブラコ星人と対等だったセブン力のダンより強いとは野川サイボーグ凄過ぎ
・ボーグ星人、女性に化けられるし後から自ら乗り込むなら最初から野川に化けて潜入すればいいのに pic.twitter.com/9mmbWiTfZj— 青山通・著『ウルトラ音楽術』集英社📚『ウルトラセブンが音楽を教えてくれた』新潮社🖋5,6作執筆中 (@navyblueaoao46) September 25, 2021
藤川桂介「半人間」
近親婚を繰り返し、衰えていた民族ザンバ星人は、地球人と結婚させる計略をたていいたが失敗する。その代わり、事故により命を落としかけていた野川を捕まえ、自分たちの手足にするためにサイボーグに改造した。
野川は妻サナエの前現れ、「氏んでくれ」首をしめる、アマギに見つかり、麻酔銃を撃たれるが効かず逃走する。
まもなく、丸の内最大の第28ビルの守衛が次々に転がされる事件が起こる。犯人は野川だった。ウルトラ警備隊に確保された野川は、メディカルセンターに運び込まれた。
医師からは、野川がサイボーグ人間であること、体内に爆発装置が組み込まれていることをキリヤマに報告する。しかも、野川は元の人間には戻れないのだ。
野川は正気に戻り、第28ビルにプレート爆弾をとりつけ、サラリーマンが出勤と同時に爆発すると告げる。
プレート爆弾の解除するフルハシ、ソガはビルに閉じ込められ、ダンはウルトラセブンに変身した。セブンの前に老人をしたザンバ星人が現れる。ザンバ星人は自分達の企みを話しはじめる。
「氏にそうな人間をサイボーグとして蘇らせ、地球を支配させるのだ。やがて地球は、ザンバ星と呼ばれるようになるのだ!」
その後、ウルトラ警備隊とウルトラセブンの活躍により事件は解決した。ところが…
「人類として、はじめての貴重な体験をした野川は、サイボーグの生き証人として、宇宙ステーションで働いてもらうことになった。」
野川はサイボーグ人間として宇宙で働かされることになり、妻サナエと別れることとなった。野川はアマギに、妻サナエに別れの手紙を渡すようにお願いをする。手紙を読んだサナエは悲しみにくれる。

「どうか、事故だけは、例え小さな事故でも起こさないでください。第2のザンバ星人があなたの生命が危うくなるのを待っているの知れないのですから…」
交通事故による4傷者が多く「交通戦争」とよばれた時代、昭和ウルトラでも、交通事故の問題はよく題材とされていますな。
ちなみに、幻のシナリオでは、冒頭でザンバ星人の計略で、謎の少女ミスティにソガが惚れてしまうという展開がありました。ミスティはザンバ星人の娘で、少女は仮の姿で、正体は老衰したザンバ星人で、老婆のような姿で現れます。危うく撃ち56されかけたソガをダンが救うのですが、それによりザンバ星人の地球人結婚計画は白紙となるという…
次回の「700キロを突っ走れ」では、恐竜戦車のデザインをめぐる問題、ウルトラマン産みの親の退社など、シリーズ後半での気になるエポックを解説していこうと思います。
それよりも、気になるのは冒頭部分のダンとアンヌのデートシーンですな。
それについても語ってまいりますので。お楽しみに。