【ウルトラセブン|第33話|侵略する死者たち】セブンと円谷プロ最大の敗北とは!?

YouTubeでしか語っていない部分があります

 

ねえねえ、ウルトラおやじさん。ウルトラセブンが負けてしまった話と聞いたら…何を思い浮かべますか?

 

ガッツ星人に貼り付けにされた話ですか?マグマ星人の手下の怪獣に足を折られたとかですか?

 

前に…キャプテンウルトラの最終回で流れたウルトラセブンの「新番組」予告にて、セブンが妖怪が戦うというナレーションがあったと、珍エピソードを紹介しましたが…現実のものとなってきたのでした

 

セブンvs幽霊ですな

 

そんなB級映画のタイトルみたいな話ではないですが…この「侵略する死者」たちでは、セブンは謎の宇宙人に操られた死者たちに2度までも翻弄されてしまいましたね…

 

コップに2回捕まえられていましたな…

 

不思議ですが…これはウルトラセブンと円谷プロの運命を暗示することになるのです…

 

え、またホラー系の話ですか?

 

怪獣の出ない3部作として有名でもある本作…なぜ、宇宙人は名前すら明かされずに終わったのか…円谷プロはすでにセブン終了について考えていたのです…

 

あらすじ

身元不明の死体10体がメディカルセンターに運び込まれた。

その頃、地球防衛軍パリ本部から秘密書類が極秘に運ばれてきた。

3万ボルトの電流が流れる鉄格子と厳重なセキュリティーに守られた書庫に保管される。

死者の魂が何者かによって操られ、極秘フィルムが盗まれる…

その158 怪奇大作戦とウルトラセブン

 

「侵略する死者たち」、「盗まれたウルトラアイ」、「第四惑星の悪夢」は、ファンの間では、「怪獣の出ない3部作」といわれ、有名ですな。

「特撮が間に合わないのかな?」「予算がないんだろうな?」と出演者たちもうすうす察していたそうですね。

 

元々、ウルトラシリーズは怪獣メインですな…出演者も違和感を感じたのでしょうな。結局本編では、念力で4者を操っていた黒幕の宇宙人は存在しましたが…いよいよ姿と名前は明かされませんでしたな。

 

一応、脚本の作成段階では、「ワタブー星人」と「ユーリー星人」という名前を確認できます。じつは、映像化までに脚本が3回も書き直しを経ており、本編のベースとなった脚本にある…「ユーリー星人」の名前がコア〜なファンの間では一般的なようです…

 

脚本にいた宇宙人が登場しなかったのは、予算不足が原因ですかな?

 

いえ、予算不足だけが理由ではありません。本33話の監督は、円谷英二の息子円谷一です。いままで、SF特撮をメインに作品づくりをしてきた、円谷プロの今後を見越した番組路線の大きな変更が試みられた回なのです。おやじさん、セブンの後続番組は何か知っていますよね?

 

怪奇大作戦ですな。まさか…路線変更とは?

ずばり、ホラーです。ウルトラQより初代マン、セブンと3つのSF特撮作品を世に産み出した円谷プロ…次期作品には、妖怪・怪奇・幻想といった…ホラー系統にシフトする事を考えはじめていたのです。

 

SFからホラーに路線変更!?…帰ってきたウルトラマンから続く…第2期ウルトラブームの前にそんな事があったのですな?

 

セブン放映時には、映画界での怪獣ブームはだいぶ下火になりつつあり、一方で水木しげるのゲゲゲの鬼太郎の大ヒットにはじまり、空前の妖怪ブームが訪れようとしていたのでした…あと、それだけではなく…

 

何か言いにくそうですな?

 

その158 特撮SFの●●円谷プロの苦渋の決断とは?…

フジテレビで放送された…マイティジャックの失敗が…円谷に大きな爪痕を残しました。セブンの視聴率低迷とあわせて、1桁代のマイティジャックの視聴率に円谷英二は愕然としたそうです。

 

20%代でも低い評価を受けた当時…1桁代は致命的ですな。

 

宇宙を舞台にした本格SF路線を目指していたウルトラセブンだけに、円谷英二、息子一にとっては苦渋の選択だったかもしれません…

 

ここにきて、円谷プロ事態にシャドウマンならぬ翳りがあらわれたということですな…

 

皮肉にも念で心霊現象を起こしてくる敵に、ウルトラセブンは2度も手玉にとられたのは、当時のSF路線に行き詰ってきた円谷プロを風刺するものとなっていたのです。誰も、まさか帰ってきたウルトラマンから、また怪獣ブームが復活するとは想像できなかったので、円谷の絶望感はすさまじく、ウルトラの産みの親、作家金城哲夫の迷走と退社の兆しともなったように思えます。

 

その159 消されてしまった黒幕の宇宙人

ぶ、ぶっちゃけ、子供にとっては怪獣が出ないのは、致命的ですな。

 

円谷一監督が、後の怪奇大作戦に続く、ホラー色の強い実験的作品となってしまった本作、じつは本編の脚本より、その前に試作用に書かれた脚本の方が、宇宙人の登場もあって面白いと思いました…

 

え?宇宙人は脚本では登場していたの?

 

はい、これを書いたのは、後の帰ってきたウルトラマンのメインライターをつとめる上原正三さんなんですが…上原は若手だったからか、3回も脚本を大きく書き直しをさせられ、本編前の2本のシナリオは、まったく違った展開でした。

 

本編よりも面白いの?

 

正直本編より面白いです。まず、はじめに書れた「逃げる死者」では、基地に侵入しようとして射殺された男が、死体になりすまし極秘フィルムを奪いポインター号で逃走、逃げるポインター号を、ウルトラ警備隊はポインター2号と3号がミサイルで攻撃、男はバリアーで防ぎ消え去るという、かの名作「007ゴールドフィンガー」を彷彿とするアクションシーンがありました。

ポインターって1台しかないのでは?

 

いえいえ、第4話では、わざわざ合成までして、複数台あるように、さりげないカットがあるのを、セブンを繰り返し見ている通なファンは知っているのですよ…

 

こんな目立たないところにも合成するのは、すごいこだわりですな…

 

男は全世界の地球防衛軍基地の情報を「ワタブー星人」という宇宙人に渡して、消されてしまう…巨大ミサイルを発射しようとしたところウルトラセブンが現れ防がれます…

 

「ワタブー星人」って沖縄っぽいですな

その通り、沖縄の方言でお腹の出ている人を指すらしいですが…ドザエモンになってしまってぶよぶよになった死体からつけられたとか…

 

うわ〜…聞かなかったらよかった…

 

結局、後半に極秘フィルムを盗んだ男の行方を探す後半部分がいまひとつであったゆえ、宇宙人の名前も「ユーリー星人」とあらためられて、「侵略する死者たち」に大きくシナリオの書き直しをさせられてしまうのでした。

 

ごめん「ワタブー」…

 

その160  謎の「ユーリー星人」登場の物語とは?

「侵略する死者たち」の準備原稿は、大学病院から盗まれた死体が地球防衛軍基地に運び込まれ、シャドウマンとして暗躍して極秘フィルムを盗み、セブンをコップに閉じ込めてしまう…といった感じで、ほぼ内容は本編に近づいています。しかし、クライマックスは、幻想的で、ハラハラとした面白い展開となっています…

 

ここからは俺が幻の「侵略する死者たち」のあらすじを説明するぞ…

※詳しくはYouTubeにて語っています!

死者たちは盗んだフィルムを基地の電送マシーンを使って、フィルムをどこかに送ってしまった。アマギは東京K地区に電波が発信された事を突き止める。キリヤマ以下全隊員出動する。K地区には巨大なドームの建物があり、地下から核ミサイルがセリ出してくる。ダンはセブンに変身して、地下のマシーン室のユーリー星人に戦いを挑んだ。その頃、地球防衛軍の広場では、死体が焼却処分されていた。燃え盛る炎の中、半透明の死者たちが踊るようにうごめく。すると、ユーリー星人の周りに炎の死者たちが現れ、ユーリー星人は焼かれて消滅してしまった。時すでに遅し、核ミサイルは発射されてしまっていたが、何とかセブンの活躍によって破壊されるのであった。

 

なるほど、セブンを捕まえた宇宙船がミサイル攻撃してきたのは、核ミサイルの名残りですかな?

 

極秘フィルムを手に入れた宇宙人が、世界中の地球防衛軍基地をミサイル攻撃するのは、本編ではなくなってしまい、黒幕の宇宙人も消えてしまった事で、この回の登場する敵は、黒幕の宇宙人に操られる死者の幽霊…シャドウマンという…地味で山場の無い展開となってしまったとか、してないとか…

 

金銭的にも、視聴率的にも、円谷プロが窮地にたっていた状況だったという事がわかりますな。

 

その161 シャドウマンの中に有名●●がいた?

きみの悪いシャドウマンでしたが…撮影裏では、アンヌは役を演じた若い俳優に囲まれてモテモテで大盛り上がりで、楽しかったそうです。

 

なんか表と裏のギャップが…

 

なかでも、シャドウマンを演じたエキストラの中には、かの有名演出家のあの蜷川幸雄がエキストラとして参加していたのだそうです。

 

蜷川幸雄といえば、藤原竜也をはじめとする、数々の舞台俳優を世に輩出してきた、超怖いことでも有名な演劇家ですな。若き日の蜷川幸雄がまさか、シャドウマンに…娘の蜷川実花さんも、写真家、映画監督として、有名ですな…うえっへっへ

 

おやじさん、詳し過ぎて…怪しいですね…

 

ところで、シャドウマンに襲われた後に、ダンの頬に灰色の煤がついているように見えるのは、スモークだそうです…

 

あの霧は、ドライアイスではなく、スモークなんですな。

 

スモークとは、煙を焚いて、煙幕をはる演出なので、俳優にとっては汚れるし、息はできないし、しんどいですね…

 

という事で次回は「蒸発都市」…ということで霞のように蒸発して終わりたいと思います。

 

次回もお楽しみに。