※詳しくはYouTubeにて語っています!



あらすじ
地球防衛軍基地周辺を、零下112度の異常な寒波が襲う。
パトロールに出ていたモロボシダンは、吹雪に巻き込まれ生死の境を彷徨う…。
普通の人間以上に寒さに弱い、ウルトラセブンの弱点が発覚!
その頃、基地では原子炉が破壊され、零下90度の基地では隊員たちが倒れ、全滅の危機をむかえていた…
◉ウルトラセブン・第25話「25話用女ハミング」2
冬木透「この曲は別の番組の録音の際に1曲だけ割り込んで録音させてもらいました」(拙著「ウルトラセブン・スコア・リーディング」より)。どうしてもこのシーンはこの曲で彩りたかったのだろう。このこだわりが名作の印象を決定付けた。 pic.twitter.com/lXkhWmcrJZ— 青山通・著『ウルトラ音楽術』集英社📚『ウルトラセブンが音楽を教えてくれた』新潮社🖋5,6作執筆中 (@navyblueaoao46) January 17, 2021
その123 大雪に金がかかってる?
ポール星人にしかり、暖房とコーヒーのために命を燃やすなど、これまでにまして、シュールな回ですな。
ところで、ここにきて、ウルトラセブンが「寒さに弱い」という設定が、なぜあらたに盛り込まれたのですかな?
①第25話の脚本は次回で第2クール終了のため これまでの諸要素が振り返られているよう感じます。
ポインターのホバー、第5話以来のヤマオカ長官、カプセル怪獣ミクラス、ウルトラホーク1号の分離攻撃…更にエネルギー切れで点滅するセブンのビームランプという設定を付加。
↓続く pic.twitter.com/JXAC617zVa
— AndroMEGA (@AndroMEGA18) September 11, 2021
それは後半にて詳しく語りますね…モロボシダンが寒さに凍えるシーンを撮影したいスタッフでしたが、まさかの暖冬でどこへ行っても雪がない問題が起きました。日光、那須、伊香保と雪を探しまわったけどダメで、仕方がなくステージで表現することになったわけです。

はい、真っ白な雪景色のセットは、大量のシッカロールと発泡スチロールや塩がスタジオに敷き詰められ…さらに、吹雪にみせるために大きな扇風機を回したとのことです。ダンの顔についた霜はメイクで、雪ではなく発泡スチロールだったので、めちゃくちゃ顔が痛かったそうです。
とはいえ、狭いスタジオで、画がマンネリ化しないようにクレーン撮影するなど、撮影スタッフ側にも苦労があったようです。
ところで、予算不足により同時撮影の24話「北へ還れ」は新規怪獣すら出せなかった…にもかかわらず、かなりセットに金をかけている事が気になりますな。
それだけでなく、晴れ渡った大雪原のラストシーンのためだけに、長野県の霧ヶ峰に一泊ロケしたり、撮影の合間にスキーしていたりと…このザル…いえ、おおらかさは、円谷プロが営利目的でなく、仕事にこだわりと楽しさを求める職人集団であることをあらわしていますね。
その124 「零下140度」の謎…
そもそも、響きはよいが耳慣れない「零下」…蛇足ですが、国民的TV局の放送用語の決まりでは、「零下」は使わないのが原則になっているようです。
その意味は、セ氏0度以下の気温を表し、「マイナス」、「氷点下」と同じ意味です。「零下140度」とは「氷点下-140度」という事です。

そうですね、なぜ「零下140度」という、とんでも設定にしたのかは謎であります。
後々、第35話「月世界の戦慄」にて、夜の月面の気温が零下180度なのに、対して差もない「零下140度」が地球上で起こせるのかという疑問なのです。

それでも、フルハシの言う通り、どんな寒冷地でも零下40度を下回るのは稀で、南極ですら零下89度が最高記録です。
本来の3枚目のお調子者キャラとして、ソガ隊員がいい味をだしていますな。
2.5枚目と言われちゃったりしますが、満田監督だからでしょうか?

このソガ隊員の語る「原子力」の万能性が、本25話と次回26話「超兵器R1号」と連続するテーマを隠し持っているのではないか?と個人的には思うところです。
振り返ってみると、セブンの物語には原子炉や原子力潜水艦が度々登場しましたな。
2022年は、フクシマ以来、原子力に対してマイナスイメージがありますが…60年代の高度経済成長期の日本は、良くも悪くも科学の発達に楽観的な風潮がありました。
原子力も夢の技術というイメージでした。
とはいえ現実は、いかに科学が高度に発達したといえど、人間の使い方によっては、脆く危険なものと警鐘を鳴らした作品なのでしょうか?
何が何だかわからないうちに原子炉を破壊され、基地内部の気温は零下90度にまで低下します…
その125 ウルトラ警備隊は伊達じゃない
冷凍マグロですら70度の冷蔵庫でカチンコチンになり、ドライアイスの表面温度ですら-79度…地球防衛軍の隊員たちの生命に危機的な状況がわかります。バタバタと隊員たちが倒れていく描写がえがかれています。
古今東西、いかに最強の軍隊といえど冬将軍にだけは敵わなかった事が、ナポレオンとナチスドイツの古事から、引用される形となった気もしますな。
気がつけば、ウルトラ警備隊隊員と一部の防衛隊員を残すのみとなり、基地を退避する事を医者のアラキはヤマオカ長官にせまります。
日付変わって、今日1月8日は、俳優藤田 進さんの誕生日(1912年~1990年3月23日)。
ヤマオカ長官としてセミレギュラーを務めた「ウルトラセブン」第25話「零下140度の対決」より。 pic.twitter.com/2r4mE0Mpzs— 主水(もんど) (@shiokininmondo) January 7, 2019
最後まで生き残ったウルトラ警備隊って、やっぱりエリートだという事がわかりますな。
第4話でゴドラ星人の怪光線を浴びて意識を失いながら、基地までのコースを間違えず、観測用ロケットで地球に帰還したアマギをみて、一般の防衛隊員は「そこがウルトラ警備隊だよ。われわれとはできが違うよ」と感心していたのも象徴的でしたね。
並の地球人より、身体的に高いポテンシャルをウルトラ警備隊隊員はもっていることが、第25話でわかりますな。
さて、ヤマオカ長官の英断により、地球防衛軍は基地から一時的に退却することを決意します。ところが、ヤマオカ長官は倒れてしまい、キリヤマ隊長は代理で、全隊員に退避命令を伝えます。
キリヤマ隊長の放送演説は、どこか玉音放送のように、敗戦を屈辱と感じる重苦しさがあり、このリアルさは大人にならないとわからないですな。

機関長も倒れてひたすらドリルしてる感じでしたから、フルハシ隊員はやっぱりもっているということですかな?
『ウルトラセブン』25話。破壊された原子炉を電動ドリルとスパナで修理した男、フルハシ。 pic.twitter.com/Y8QSJY3C86
— 真 (@shind009) December 15, 2020
ところで、フルハシは機関室で目撃した「ガンダー」を「怪獣」とは言わないのですよね…ここにセブンの知られていない裏設定があるのではないでしょうか…?
その126 ウルトラセブンには怪獣いない説

ウルトラセブンの本編では、「怪獣」という言葉を登場人物が発していないことにお気づきでしょうか?
エレキング以降、宇宙人の尖兵として巨大生物が幾度か出てきましたが…
「隊長!東京に怪獣が現れました!」という定番のセリフが使われた事が一切ありません。

怪獣の肩書きや名前は、「帰ってきたウルトラマン」以後はOPのクレジットに記載があったりしますが、セブンは放送終了後に怪獣図鑑など、各種媒体で後づけされる場合がほとんどです。
というわけで、セブンは本編だけで、他のウルトラとはちがった独特の作品の世界観がひとつ完結しているのです。怪獣図鑑などの情報をいったん捨てて、本編を観ていると新たな発見がある場合が多いのです。

なので、インタビュアーもセブンについて訪ねるときには、安易に「怪獣」という言葉をつかわず「怪物」と呼称する場合が多い気がします。
その127 ウルトラセブン弱体化計画!
#ウルトラセブン
第25話「零下140度の対決」
今回登場のポール星人は地球を
3度目の氷河時代にしに来た。
身長30cm 体重1kgであるが
シリーズ最強宇宙人と言われる。
それにしてもセブンを「お前さん」
と呼ぶお喋り宇宙人だ😅
ポール星人を含め、ガンダー、
ミクラスと憎めないキャラの回
である🤟 pic.twitter.com/16gpdAFiMC— kazz50 (@horohoro_no_mi) September 11, 2021

初期の設定ではウルトラセブンの弱点にはなく、幻となったサウスポー設定くらいでした。ウルトラマンより強さをおさえたいスタッフの思惑と裏腹に、気がつけば登場から数分で敵を薙ぎ払う無敵のヒーローとなっていました。
セブンが強過ぎて、戦いのシーンが短くなってしまい、子供たちには物足りなく感じたようですな。
金城哲夫と満田監督は、酒を飲んでいる時に、ウルトラセブンは光の国のヒーローだから、寒さと暗さに弱いだろうと言う話になって、本編に取り入れたのだそうです。
寒さに弱い設定は、ウルトラマンエースにも引き継がれていきますな。飲みの席で考えられたのですな?
ウルトラセブンは、番組開始以降は、監督や脚本が集まって会議することはなく、「やったもんがち」的な感じで、「ふたりのウルトラマン」のように、金城が監督と飲みながら話たことがきっかけでドラマになる事が多かったのです。最も有名な話に「ノンマルトの使者」の誕生がありますが、後にとっておきましょう。
第25話で金城哲夫さんといえば、アンヌに抱えられて幸せそうにいってしまう、地球防衛隊員としてカメオ出演されているのは有名な話ですな。
メイン監督である満田かずほは、凍4しかけたウルトラセブンは、後遺症として…以後ウルトラマンと同様に、セブンがピンチに陥り、ビームランプがカラータイマーのように点滅する場面が象徴するように、エネルギーが限られたように演出されます。
ウルトラセブンにも弱点があった。
光の国、M78星雲からきた彼は、普通の人間以上に寒さに弱かったのだ。
第25話『零下140度の対決』
ミニ宇宙人 ポール星人
凍結怪獣 ガンダー 登場
33㌢ 1㌕/45㍍ 2万㌧#ウルトラセブン #ミクラス #怪獣図鑑 pic.twitter.com/jhlcp7yWBB— 鷹見takami (@takami77986063) September 11, 2021

本原稿が書かれていた時点で、番組視聴率は30%だったので、金城としては、盤石なものにしていきたかったと言われます。皮肉なことに、ここからセブンの視聴率がどんどんと低下してしまうわけですが…
それにしても、最大の謎は、最後に視界が晴れたなか、「カルテット攻撃」という、分離したウルトラホークが4機も空中を旋回しているのに関わらず、モロボシダンその中で大胆にセブンから人間の姿に戻るばかりか、ミクラスを回収して、よくも他の隊員たちに正体バレせずにすんだものですな。
ついに3クールが終わりましたね…いよいよ、公式も55周年プロジェクトが明らかとなってきて、我々も10月1日にむけてコンテンツをバージョンアップしていきます。
その際には、視聴者さまよりいただいたコメントを参考にさせていただきますので、知っている情報がありましたら教えてください。