●●ドラマだった「ふたりのウルトラマン」とは?

沖縄本土返還50周年記念としてドキュメンタリードラマとして制作された「ふたりのウルトラマン」…ところが、謎多く秘めたドラマづくりがなされていました。

金城哲夫と上原正三の2人の主人公がいかにして、ウルトラマンからウルトラセブンの物語を制作したのか、上原正三が振り返る形で、金城哲夫と円谷一監督の、男の友情と円谷作品への熱い思いをえがいていました。

しかし語り手であり、主人公の1人としてえがかれた上原正三は、すでにこの世にはなく、もちろん実際に証言者として登場しません。なぜか、1997年に60歳となった上原が金城哲夫の家を訪れるシーンには謎が残ります…

 

はてな

その他にも実際にドラマを視聴した皆さまは、ある違和感を感じたのではないでしょうか?

私もオールウェイズ三丁目の夕日のような、昭和の円谷プロのノスタルジーをえがいたドラマと想像していましたが、まったくのミスリードでした。このドラマをじつは、これは〇〇ドラマなのです。

今回はドラマ「ふたりのウルトラマン」物語の感想と考察について、以下のように語っていきたいと思います。

 

  1. 意味がわかると●●いシーン
  2. このドラマには●●がある
  3. 実際の人物とキャラが●●な件
  4. 結論 ふたりのウルトラマンは●●ドラマ

仮説① 意味がわかると●●いシーン

金城哲夫と円谷一監督が酒に酔って転んでしまい、2人横にねころんで、月を眺めるシーンがありました。物語にはクライマックスでも金城哲夫が沖縄のさとうきび畑から月を眺めるシーンがありました。

 

これは、円谷英二監督の「かぐや姫」を映画化したい願いを叶えたい意味ではなく、「ふたりのウルトラマン」のウルトラ作品に対する、あるメタファーが含まれているのです。

メタファーというのは、何かを象徴する意味をもつものが画面に映ることで、その登場人物の未来を暗示する役割を担っています。

キーワードは、「ニラノカナイ」です。

 

光の国からやってきた平和の使者ウルトラマンの設定は、沖縄の神話にある「ニライカナイ」に由来していることです。

劇中では「ニライカナイ」は、ウルトラマンの故郷「光の国」と金城哲夫は言っているわけですが…「ニラノカナイ」とは、沖縄で信仰されている海の彼方にある世界です。

生者の魂がやって来るところ、死者の魂が帰るところとされ、島人の祖先たちが現世と往来できる死後の世界として、沖縄では仮面をつけた来訪の儀式がおこなわれてきました。

「ウルトラマン=ニラノカナイ」であり、生と死をつかさどる光の国の使者であると読み取れるのです。

ということで、「ふたりのウルトラマン」のテーマとは、ウルトラQより続く第1期ウルトラシリーズのドラマづくりに、命を燃やして臨む若者たちの「生と死」を描いたエピソードという事です。

「月」に話を戻すと、同じように月は「●●と●●」のシンボルとして、広く映画やドラマにて用いられています。つまり、月は登場人物の「死」を予感させる演出なのです。
金城哲夫と円谷一が月を見上げるシーンは、意味がわかるとかなり辛いものがありますな…

詳しくはYouTubeにて語っています!

 

仮説②このドラマには●●がある

ドラマでは60歳となった上原正三が金城哲夫の部屋を訪れるシーンがあります。

テロップには1997年とでてきます…なぜ1997年なのか?じつは、この年には重要な意味があります。

1997年は、円谷プロにとっては、ウルトラマン生誕30周年をむかえ、「ウルトラマンティガ」と「ウルトラマンゼアス」といった、「ウルトラマン80」より17年ぶりに国産のウルトラマンが作られた記念すべき年でした。

 

テレビ放映された「ウルトラマンティガ」は、若手時代に初代マン・セブンの撮影に参加していたスタッフたちが、監督や脚本家となって製作されました。最終回を目前に上原正三氏に脚本の依頼がありました。

それが、ウルトラマンティガ第49話「ウルトラの星」です。

 

【ティガ第49話「ウルトラの星」のあらすじ】

「怪獣を買いたい。」謎の怪獣バイヤーの男チャリンジャは、怪獣を売ってもらうため円谷英二に会いに、1965年の円谷プロにタイムスリップする。

巻き込まれて1965年に来てしまった主人公ダイゴは、自分とそっくりのスタッフに間違われて、円谷プロで働くことになる…そこで「ウルトラQ」の後番組に頭を悩ませる金城哲夫と円谷英二に出会う。

竜ヶ森の湖から現れた怪獣ヤナカーギーにティガは苦戦するも…まさかの奇跡が起こる…

金城哲夫と円谷英二の実在の人物が登場するドキュメンタリー要素をもった、異色の物語をもつティガ第49話は、上原正三によって書かれ、監督をウルトラセブンメインライター満田かずほがしました。

円谷英二がウルトラマンと出会った、「竜ヶ森」の湖は、初代マン第1話「ウルトラ作戦第一号」にて、ベムラーが現れ、ハヤタと初代マンが出会った湖の名前です。

ネタバレになりますが、ティガ第49話では、まさかの初代マンがスケットとして現れる、コアなウルトラファンにはたまらない設定や演出が組み込まれています。

「金星人!」というあだ名は、「ふたりのウルトラマン」にも出てきましたが、ティガ第49話でも出てきます。
もう、これは「ふたりのウルトラマン」の●●であると言っているようなものですな。
ぜひ、ティガ第49話は観てもらいたいです!

 

仮説③ 実際の人物とキャラが●●な件

「ふたりのウルトラマン」の話に戻ります。

 

金城哲夫を演じた俳優の満島真之介は、「ウルトラマンマックス」シリーズ初のアンドロイドオペレーターを演じた満島ひかりの実の弟であり、ウルトラ兄弟の出演であることや、金城・上原と同じ沖縄出身ということもあり、自然な琉球なまりであることなど、粋な演出に感動するわけですが…

序盤に円谷一監督が、怒鳴り込んでくるシーンに度肝を抜かれたと思いますが、円谷ファンはもっと驚いたのではないのでしょうか?

円谷一監督の性格については、多くの関係者は温厚でみんなに愛される人柄であったと語られます。

また、飯島敏宏監督がフランス文学好きのインテリなキャラに対して、実相寺昭雄監督は破天荒な太宰治のようなキャラにこう…まあ色々と思うこともあるわけで。

個人的には、実相寺昭雄こそ、テレビ局につとめる前は外務省にいて、フランス語が堪能で、フランスの映像文化に精通していたからこそ、実相寺アングルが生まれたので…

 

まあ、色々と言いたいこともあるわけですな。

 

ドキュメンタリーとして、円谷英二の三男円谷粲、セブンの満田かずほ監督、脚本家藤川桂介、タロウとレオのメインライター田口成光、そしてセブンで金城に社会派ストーリーを求めた橋本洋一プロデューサー…といった第1期ウルトラシリーズに携わった主要メンバーたちが、登場して驚いたわけですが…

結論をいうと…

「ふたりのウルトラマン」はドキュメンタリードラマではなく、このドラマはいわゆる「●●ドラマ」なのです。

徳川家康や坂本龍馬など、本当の性格はどうだったのかえがくのではなく、史実にもとづいて実際にあった出来事をなぞりつつも、あくまでドラマなので、フィクションが加えられたと観てはいかがでしょうか?

「私が愛したウルトラセブン」もしかりですな。

個人的には、原作者でもないのに、故人となった上原正三の目線で、わざわざ作られているところに、ティガ第49話を意識して作られたのではないか?出演者の問題からティガではなく初代マンの放送となったのでは?と考察してしまうわけですが…

注意ポイント

この動画は一部チビトラの母の妄想をフィクションとして含むものです。信じるか信じないかはあなた次第です。