【ウルトラセブン|第17話|地底へGO!GO!GO!】モロボシダンドッペルゲンガーにオネエ疑惑とは?

「ウルトラマンデッカー」の発表がありましたね。合体飛行機ガッツグリフォンに、注目しています。

合体、変形メカの先駆けとなったウルトラセブン…

そこにはある因縁が関わっていたのですな!?
昨年、映画「サンダバード55/GoGo」が公開されました。

「サンダーバード」がわかるのも、かろうじて再放送を見て、お菓子のオマケを集めた、ポスト団塊ジュニアの我々が最後かもしれませんな…

ウルトラマンシリーズのメカの素晴らしさは、円谷英二がライバル視していた、イギリスの特撮番組「サンダーバード」によるものです。

「サンダーバード」に最も強い影響を受けたのは、われらの「ウルトラセブン」でした。

今回は、奇しくも「GOGO」とタイトルが重なるサンダーバードと円谷の因縁について…そして、モロボシダンドッペルゲンガー問題から、モロボシダン●●●疑惑まで語ってまいります。

 

あらすじ

アサチ炭鉱地下1000メートル坑内に、1人の若者が生き埋めになった。

スパークのような光が目撃されたことから、ウルトラ警備隊に事故の調査依頼が届く。

モロボシダンは透視能力を使い、取り残された薩摩次郎の顔を見て驚く…。

なんと、自分と同じ顔をもった青年であった。

モロボシダン誕生にまつわる、セブンと薩摩次郎の秘密が語られる…。

 

その84 円谷プロとサンダーバードの因縁とは?

ことのはじまりは、1966年「ウルトラQ」の放送でした。山田正弘脚本の第15話「カネゴンの繭」という物語は、快獣ブースカのもとにもなったファンタジーなストーリーでした。

しかし、その裏ではイギリスの特撮番組「サンダーバード」の放送がはじまりました!!円谷が番組製作で狙っていた、ハードSF路線としては、NHKにて放送されたサンダーバードに、視聴率で負けてしまったことは円谷英二社長には、シコリとして残りました。

円谷英二はイギリスの撮影スタジオを自ら見学に訪れるくらい、「サンダーバード」のショックは大きかったようです。視察してわかったのは、なんと、イギリスにある特撮スタジオは、円谷のスタジオのスケールよりも小さいものでした。

「これならうちでもできる。」という事で、ウルトラセブンでは、ウルトラホークが発進する時は、秘密基地がスライドして、メカがお尻から炎と煙をあげて発進する演出が用いられました。

ちなみに、なぜ初代マンのビートルからウルトラホークまで、お尻から火を吹くか知っていますか?
え、かっこいいからじゃなくて?
ぼーっと生きてんじゃねえよ!

ウルトラシリーズの撮影された頃、世界の最新鋭の戦闘機は、超音速ジェット機に変わりつつある時代でした。超音速の機体とは、第二次世界大戦で活躍したプロペラ機と違い、アフターバーナーと呼ばれるジェットエンジンを噴射して、音速に近いスピードで加速できる機体です。

ウルトラホークのお尻は、最新鋭の超音速ジェットの印なのですな?

第17話では、地底戦車マグマライザーが登場。マグマライザーは別動画にて紹介したように…

リテイク版【ウルトラセブン|第12話|遊星より愛をこめて】〜スペル星人大冤罪〜

欠番に対する誤解や曲解を排除して、なにとぞ12話復活につながる配信となればと思います。また、いたずらに欠番の経緯を取り上げる風潮には、批判的な立場である事をここに表明しておきます。

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ウルトラセブンの番組予告にて、唯一名前の告知されたメカでしたが、1クール終えて、ようやく初登場です…

銀色のウルトラホークとは違った、フォルムは黒を基調とした、ベーシックな感じで、スタイリッシュなデザインです!最終回のクライマックスにマグマライザーがゴース星人の秘密基地に突撃するカットは、いまだに目に焼きついています!

成田亨のウルトラ警備隊の銀やグレーに黒を差し色とした、ウルトラ警備隊のカラーは、同時期に放映されていた「宇宙家族ロビンソン」にも由来すると言われていますが…

 

 

かなり力の入った、大人向けのカラーデザインがはかられたわけですな。

地球上での主力兵器としてウルトラホーク3号は、ホーク1号にならんで出撃回数が多いです。それなのに、機種番号は2号ではなく、なぜ3号なのか?個人的にとても不思議に思っているのですが…

これも、番組予告から、ホーク2号の超音速ロケットを目玉としていたということですな?

ホーク3号の最大の見せ場は、まさに第17話のように、とっておきのお助けメカを運び、発進させるサンダーバード2号のような、輸送機能があることがわかります。

 

その85 ユートムの地底都市の怖い話…

劇中に現れる謎の地底都市。都市を守るロボット「ユートム」は一体何者であったのか?もしかすると地球人の文明よりもすぐれた文明だったのか?

地底都市の謎は「視聴者の想像にお任せします」といった、モヤモヤとする幕引きは、ウルトラQより続く円谷作品のお家芸ですな。
ちなみに、ユートムのスーツアクターを演じたのは、初代ゴジラを演じた伝説のスーツアクター中島春雄さんだそうです。

地底人や地底文明という存在は、SF作品のネタとされなくなってきましたが…もともとは「地球空洞説」とよばれる、地底には大きな空洞があり、人間より優れた文明をもつ人々や地上では絶滅してしまった生き物が暮らす別世界とつながっている説があり、古くから物語の題材とされました。

代表的には「不思議な国のアリス」の童話や、ウルトラマンティガのモデルとなる「狂気の山脈にて」があります。

リチャード・バード海軍少将の「ハイジャンプ作戦」にまつわる都市伝説も有名ですな。

正体不明の地底都市は結局、ウルトラ警備隊の手により破壊されてしまいます。

このように。人間とは異なる他の文明をウルトラ警備隊は、容赦なく破壊してしまう行為は、第6話「ダーク・ゾーン」の宇宙都市ペガッサシティに引き続き、本第17話地底都市がそれにあたります。

爆破時刻を聞いて、物々しい顔で鉱山を見つめるキリヤマ隊長…ところが、地底都市の文明や住人の存在について隊員達の間で語られることもなく、事件はあっさりと幕引きを迎えてしまいます。

視聴者側は、モヤモヤとなんとも言えない罪悪感と人間のエゴを潜在的に感じるわけですが…

他の文明との共存は、セブンの珠玉の名作とされる、第42話「ノンマルトの使者」が主なテーマとしており、追々語っていこうと思うわけですが…

高度経済成長社会のピークを迎えていた、当時の感覚としては、環境破壊や他者が犠牲となって、文明が発達する事は、セブン放映時の日本人にはピンときていなかったのではないでしょうか?

詳しくはYouTubeにて語っています!

 

その86 モロボシダンの●●●疑惑

地底都市とは関係ない撮影裏話ですが、第17話のロケ終了後、廃業した地下バーの廃墟にて行われた宴にて、モロボシダンのある一面が明るみとなったエピソードがあります。

ウルトラセブンの収録後の、楽しかった宴会エピソードは、某隊員のエッセイにてファンの間で知られている訳ですが…

第17話の収録は茨城県日立炭鉱所でのロケでした。そこで事件が起こりました。なんと、宿泊施設には宴会場がなかったのです。そこで、地下バーの跡地を見つけ、円谷プロの美術スタッフ総出で、即席の宴会場をつくったそうです。

円谷スタッフの宴会に対するパワーがヤバすぎる!

しかも、酔っぱらってあれよあれよと、着ている服を脱いじゃった…ダンとソガによる●●●芸で現場は大盛り上がりだったそうです。

ちなみに、宇宙人モロボシダンとしての演技に俳優森次晃嗣氏は、大いに悩んだそうですが、フルハシ隊員役の現在の毒蝮三太夫さんによれば、内股で走ったり、中性的に感じる動作部分から宇宙人に見えた、と言われていたりします。

後のウッチャンナンチャンの番組にて、ウルトラセブンのパロディ「ウチムラセブン」にて、森次晃嗣ご本人が、中性的な役の隊長をしていたのは、それをネタとしていたということですかな?

なかなか、その辺のところは、シビアな時代となってしまったので、あまり言及できないですが…

あくまで推測であり、真偽のほどはわかりません。

詳しくはYouTubeにて語っています!

 

その87 モロボシダンドッペルゲンガー問題

第17話は森次晃嗣氏ご本人も、よく言及されているのですが、モロボシダンにまつわるツッコミどころがいろいろとある、おもしろい作品です。

まずよくいわれるのは、モロボシダンとまったく同じ顔をした人物が2人登場しても、周りがまったく気づかない…モロボシダンドッペルゲンガー問題です。

 

同じ顔が2人…

けっして、森次晃嗣のスピンオフ出演ではなく、第17話のゲスト出演する薩摩次郎は、モロボシダンの魂と姿のモデルとなった、ウルトラセブンが地球ではじめて出会った人間だったのです。

薩摩次郎とセブンの出会いは、薩摩次郎が仲間とロッククライミングをしている時でした。次郎は崖から落ちかけ、ロープ(ザイル)一本で仲間とつながっていましたが、自分の命を犠牲にして仲間を守ろうと、ロープを切ってしまいます。

落下して、あわや命を落としかけたところをセブンによって救われました。勇敢な青年の行動に感動したセブンは、薩摩次郎の魂と姿をモデルとして、人間体のモロボシダンが誕生しました。

 

第17話の監督である円谷一は、セブン第1話の監督を務めており、「モロボシダン誕生の物語を撮りたい」というおもいがありました。

 

といっても、薩摩次郎と瓜二つの顔をしたモロボシダンの顔を見て驚かないのは謎すぎますな。

ちなみに、ウルトラセブン自身は、最終回で「340号」とよばれるのみで、M78星雲人である以外は、その出自は劇中では深く語られることはありませんでした。後日、ウルトラマン図鑑などで「恒点観測員340号」と肩書きがつけられ、観測任務のため地球に訪れたと書かれています。

とはいえ、ウルトラセブンは主題歌に「ファイター」とあるように、西洋の甲冑のような、プロテクターをまとい、頭上に刃を身につける、ファイターの姿をしているわけですが、戦闘員というよりも設定上は一観測員…

物語であと一つツッコミどころが…ユートムに捕まって磔にされ、窮地に追い込まれたモロボシダン。変身したくてもウルトラアイは取り上げられています。

ユートムに焼き殺されそうになって、さらにピンチ!

すると、ダンはベルトのボタンを押した次の瞬間、ま・さ・かの空飛ぶウルトラアイ…

円谷一監督の実験的な演出のなかでも特筆すべき、ウルトラセブンのヤバい変身については、次回第18話「空間X脱出」にて語ってまいります。

 

薩摩次郎の救いたかった相棒のチュー吉ですが…これもどうなったの!?と疑問が残ってしまう終わり方ですが、じつは、台本の決定稿には次のようなト書きが…

シーン43 地下・切羽
壁面を突き破ってセブンが入ってくる。
次郎、倒れている。
チュウ吉が…