【ウルトラセブン|第19 話|プロジェクト・ブルー】クセが強すぎるバド星人と妻グレイスとは?

映画「シン・ウルトラマン」にて、庵野秀明は、どちらかといえばマニアックなザラブ星人を出演宇宙人に起用しました。その理由を庵野氏は「侵略を仕事としていて面白いと思った。」と答えています。ニセウルトラマンが登場した事も大きな理由かもしれませんが…

「シン・ウルラマン」にて、ザラブ星人は地球にやってきた目的を神永新ニにたずねられ、うる覚えですが「ホモサピエンス(人類)を滅亡させる事」と答えました。

その理由は「ホモサピエンスが、自分達のために他の生物や種族を絶滅させたのと同じく、我々も他の惑星の種族を滅亡させるのは自然な事ではないか?」と、大人がおもわず「なるほど」となる事をいうわけですが…

個人的には、最近ベストセラーとなった「サピエンス全史」に書かれていた、我々ホモサピエンスは、他の類人猿を皆56しにした歴史を風刺ているように思え気になりました。

さて同様に、今回取り上げる「宇宙帝王バド星人」の目的は、「シン・ウルトラマン」のゾーフィのしたソレに近いことを地球に仕掛けます。

 

あらすじ

ミヤベ博士の発明によって、地球と月を大きなバリアーで包む事によって、侵略宇宙人の侵入を防ぐ新たな地球防衛システム「プロジェクト・ブルー」の実験がはじまっていた。

休暇のために久しぶり、家に帰ったミヤベ博士は、妻グレイスにプレゼントを渡します。セブン恒例のラブラブな夫婦シーンを見せつけてくれます。

ところが翌日、ミヤベ博士は拉致され、妻グレイスの身にも恐ろしい事が起こります。地球を破壊しようとするバド星人。はたして…?

 

 

その95 もはやチート技プロジェクト・ブルー

ここにきて、ウルトラマンシリーズ最強の防衛システム「地球防衛バリア」が現れます。地球と月を巨大な磁力線の網で包み込むことによって、実現する技術らしいのですが…

物語は、バド星人の宇宙船がバリアの網に引っかかってしまい、円盤が墜落するシーンからはじまります。バド星人の科学技術を考えると、かなり有効な防衛手段のようです…

なぜ…?

詳しくはYouTubeにて語っています!

おそらく、技術的にあと一歩で実現可能だったにもかかわらず、あまりに消費エネルギーが膨大のため、運用に問題が生じてしまったと脳内補完が必要ですかな?

 

その96 アベックに嫉妬するセブンの宇宙人?

夫婦もしくは、カップルのイチャイチャっぷりには、さすがの宇宙人も嫉妬するのか、ラブシーンは、ウルトラセブンでは、もはや事件の前兆となってしまっています。

なかなか、第7話の「くぉんにぃちわ、ぐぁそりぃんをくぅださぁい」の外国人客とならんで、個性ある妻グレイス。国際結婚の夫婦の日常をえがこうとしたところが、さすがはウルトラセブンといったところですな?

このセブンの個性の強い、ガソリン客、グレイスの両方を務めた声優は同じとか?

さて第19話といえば、ホラー演出です。暗闇の中で、不気味な声が聞こえてきたり、ドアの向こうから宇宙人が突然現れたりと、子供の頃にトラウマを感じた方は多いのではないでしょうか?

ホラー要素の強い回としては、第2話「緑の恐怖」と第7話「宇宙囚人303」、第16話「闇に光る目」と共通して暗い闇のなかでドラマが起こる事ですな。

 

その97 バド星人がウルトラマンキングより年上のくせにザコキャラな件

「私は、バド星人。宇宙の帝王だ!」

「地球が火の玉だった頃」に来たというバド星人…地球が誕生したのは約46億年前…海が誕生したのが、その2億年後…ということは…

バド星人の年齢は何億年単位ということになりますな。

ウルトラマンたちから、伝説の存在とされ、ウルトラ族のなかでも最も、最年長とされるウルトラマンキングが約30万歳といわれます。という事から、バド星人がとんでもないくらい長寿である事がわかりますね。

 

第2期ウルトラシリーズを想起させる大きくジャンプしてバク宙するなど、アクロバティックな格闘戦に、まさかの石つぶて、メリケン攻撃というコミカルなネタなど、見どころがたくさんあるバド星人戦ではあるのですが…

ところで、お気づきになりましたか?2クール以降、ウルトラセブンとの戦闘時間が伸びましたね…

それよりも、バド星人の最期は、エレキングに続いて、生々しいシーンとなってしまったのですが…。

 

あと、バド星人の目はあえてあのか?中の人間の目玉が丸見えなのは、後の第44話「恐怖の超猿人」にて語って参りたいと思います。

 

その98 庵野秀明に愛されるさつ戮宇宙人

宇宙に存在する自分達とは違う種族を無差別に絶滅させる事を「仕事」とする宇宙人について些か興味深い話があります。

以前、冥王星の知的生命体を絶滅させたバド星人は、今度は地球人を星ごと消滅させようと、生産的でない狂気に満ちた計画を実行しようとしていました。

でも、やってることは、ゾーフィとほぼ同じですな。

話は映画「シン・ウルトラマン」につながってきます。庵野秀明はザラブ星人を出演宇宙人に選んだのは、「侵略」を「仕事」としている事がおもしろいと思ったからだそうです。「シン・ウルトラマン」のザラブ星人は、ホモサピエンス(地球人)が他の類人猿や生き物を絶滅に追いやったように、「仕事」として地球人の共倒れによる滅亡をねらいます。

庵野監督に愛される宇宙人は、種を絶滅させることを生業としているということですか!?
その世紀末的思想は、もしかしたらエヴァンゲリオンの世界観に通じているかもしれませんが。あくまで妄想ということで…

 

その99 森次晃嗣とセブンはニコイチ(4語)!

ウルトラセブンの場合は、モロボシダンが変身後に巨大化せずに、等身大でその場で活動するシーンが多いですね。

森次晃嗣とウルトラセブンのスーツアクター上西弘次は、撮影現場で一緒になる事が多かったことから、とても仲もよかったそうです。

ダンは撮影後の打ち上げで遅くなって家に帰れない時、セブンの自宅に宿泊することもよくあったそうです。

ところで、この第19話の特撮シーンで完成度の高いのは、セブンが鏡のむこうにある異次元空間に入る2回目のシーン…アンヌがセブンの後を追おうとしたら、鏡に「コツンッ」と顎がぶつかってしまうシーン…いうまでもなく、この鏡はアクリル板のようなフェイクでしょう…アンヌの顔と真向かいのアンヌの後ろ姿は、別のスタッフだったと、ひし美ゆり子さんは振り返ります。

たった、数秒間のシーンに、技術とコストがかかっている特撮ってやっぱりスゲーなと思いますな…

さて、最後にこの物語がなぜこんなに完成度が高いかについてなのですが…

 

その100 黒澤明の助監督野長瀬三摩地とは?

 

第19話の脚本を書いた南川竜とは野長瀬三摩地監督のペンネームです。

野長瀬監督はウルトラQより円谷一監督とともに、ウルトラマンシリーズの礎を築いた、ウルトラシリーズを語るうえでかかせない名監督であります。

ウルトラセブンでは、エレキングとピット星人の登場する撮影1回目の第3話「湖のひみつ」を代表に、多くメガホンをとっています。

本第19話はご自身で脚本を書いて、監督をしたということですな!

本作のエンディングがまさに象徴しており、冒頭のグレイスに渡したプレゼントには、じつは「プロジェクト・ブルー」の秘密が隠されていたという、私が子供の頃に見てもよくわかるくらいに物語の伏線と回収が綺麗につくられ、ラストでは

横から割り込んで報告するアンヌに

「コイツぅ」(ダン)

とアンヌをダンがこづいたあと…

「何ぃ?なにがコイツだ」(キリヤマ)

いけねえ、隊長に聞かれてしまったよ…わはは

みたいな第1期ウルトラシリーズにはめずらしい、大大円で終わるホッとした気持ちで終幕をむかえるストーリーは、野長瀬監督らしいところであります。

 

さて次回、第20話「地震源Xを倒せ」でございます。ウルトラセブン人間体になると弱すぎ問題から、シャプレー星人の不遇から復活までの奇跡なんかを…気になる小ネタから、掘り下げていこうかと思っているわけですが…最近、何かと更新が遅れがちなので、一回休みを挟ませていただいて、更新時刻を守りつつ、編集ミスも少なく投稿していこうかと考えており…ご了承ください。