※YouTubeでしか語っていない部分があります
はじめに
本第12話「遊星より愛をこめて」は、円谷プロは公式に永久欠番作品として、封印した作品になります。
「なぜ欠番になったのか?」といった経緯については、非常にセンシティブな事であり、安易に触れるべきではないと考えます。
しかしながら、再放送やVHSでウルトラセブンを観て育った私たち世代にとって、第12話の存在を知る事になるのは、ネット情報の普及によるものでした。
なので、悲しいことに第12話はどうしても、偏った情報が先行してしまいます。ご承知の通り、物語に欠番の原因があるわけではありません。

・幻となった物語の要約
・アンヌ隊員とフジ隊員夢の共演
・実相寺昭雄の幻となった演出
・シンウルトラマンは欠番を救うか?
その62 幻となった物語
いまや幻となってしまった第12話をざっくりとお話します。
物語は宇宙空間で何かが爆発して、爆炎が上がるところからはじまります。
ウルトラホーク2号で宇宙をパトロール飛行していたアマギは本部に次のように連絡します。
「宇宙にはとくに異変がありません。ただ平日より若干多量の放射能を検出」
アマギ
「放射能か…ついこの間まで…地球もその放射能で大騒ぎしたものだ」
フルハシ
「うん…原水爆での実験でな…しかし、地球上ではその心配はなくなった…地球の平和が第一だ」
キリヤマ
「まったくですね」
モロボシダン
冒頭数分間のセリフのやりとりに、第12話の物語が目指すテーマがみえてきます。

「ダン、静かね。宇宙全体がこんな静かな毎日を送る日が、いったい。いつやってくるのかしら」
アンヌ
「いつかわからない、でも、いつか必ずくる…くるよ!」
モロボシダン
物語の随所には、世界平和を願うメッセージが込められてます。
恋人のサタケに騙されていた事を知ったサナエ…友人のアンヌと次のような会話をして、物語は終わりを迎えます。
「夢だったのよ。」
アンヌ
「ううん、現実だった。「私忘れない…決して…。」「地球人も他の星の人も、同じ様に信じ合える日が来るまで…来るわきっといつかそんな日が。」
サナエ
恋人に裏切られ傷心のサナエは、傷ついた自分の心情ではなく、なぜそんな事を言ったのか?

代表作としては初代マン第23話「故郷は地球」があります。宇宙競争の犠牲となった宇宙飛行士ジャミラの悲劇をえがきました。
本作はジャミラの悲劇の物語と似て…
※しばらくは、YouTubeのみで詳しく説明します…
その63 アンヌ隊員とフジ隊員夢の共演
第12話が欠番回として惜しまれる大きな理由には、ウルトラマンとウルトラセブンのヒロインの夢の共演が幻となってしまった事です。
ウルトラQのヒロイン江戸川由利子を演じ、引き続き初代マンでも科特隊の紅一点フジ・アキコ隊員を務めた桜井浩子さんが、同じくウルトラ警備隊紅一点アンヌ隊員の高校時代の友人サナエ役としてゲスト出演していたのです。
同じフレームに、アンヌとフジ隊員が2人並ぶ貴重な画が失われたことは残念でなりません。
また、様々な私服姿を披露されていた事も勿体無く感じます。出演者本人たちも…
その64 実相寺昭雄の幻となった演出
実相寺昭雄監督は、第8話「狙われた街」のような傑作回の印象が強いため、あまり認識されていないのですが、ウルトラセブンで監督した作品、初代マンに比べて、たった4本と少ないのです。そして、その一本が第12話なのです。

実相寺昭雄はウルトラマンよりも、怪獣たちの悲哀を描く演出を好んでいました。
怪獣の正体は人間であるジャミラの衝撃の物語と同じく…

敵の宇宙船とウルトラホークのドックファイトシーンでは、レーザー光線の残像が画面にどんどん重なっていきます。背景が夕焼けに変わると、ホーク1号の攻撃は実弾(栄光弾)に切り替わったところに、実相寺演出を感じます。
また詳しい解説はYouTubeにてしますが、第45話「円盤が来た」にいたっては、ホーク1号のドックファイトだけでなく、セブンの戦闘シーンはもはや芸術の域に達してくるわけですが、第12話はその萌芽を感じます。

その65 シンウルトラマンは欠番を救うか?
本作品の主演をつとめたアンヌ隊員役のひし美ゆり子さんは、この第12話の欠番を非常に残念に思っています。
ひし美ゆり子さんを筆頭に、出演者からは、本作品の復活を望む声が多いです。
しかし、残念ながら2021年発行された、「ダンとアンヌとウルトラセブン」など、最新のウルトラセブンのガイドブックには欠番として伏されました。
欠番の経緯とは別に、「核と放射能の問題」に対するタブー視する傾向は厳しくなってきました。
「放射能」という言葉も、「原発問題」が深刻化するとともに、シビアなものになってきました。
庵野秀明が監督をした「シン・ゴジラ」の物語は、本来ゴジラ映画がテーマとしていた「核」と「放射能」の問題をとりあげ、タブー視されつつあった「放射能」の汚染問題に挑んだのです。
2022年、世界を取り巻く「核」の問題は、再び緊張を増してきました。ウルトラセブンはあの「キューバ危機」より5年後に書かれた物語です。…米ソ核開発競争に対する危惧と核のない世界平和を寓話として、問題提起したい願いがこめられた作品なのです。
※YouTubeではより詳しく根拠を示して語っております。ぜひYouTubeも観てください…