【ウルトラセブン|第10話|怪しい隣人】有名なアンヌの「みかんの話」とは?

2022年5月13日

※YouTube版でしか語っていない部分があります。

映画「シン・ウルトラマン」が公開されたり、世界の情勢がまるで冷戦時代に逆戻りしたようになったりと…

セブンの物語を通して語りたいことがたくさんあるわけですが…

「ウラトラセブン」として、セブンの裏話を語るからには、10、11話と続く、アンヌに訪れた悲劇の裏話をちょっとだけ触れていきます…

👇忙しい人は聞き流しできるラジオをどうぞ👇

あらすじ

別荘で療養中のアキラ少年。隣の家に住む、怪しい隣人を観察していた。

ある日、隣人の姿が突然消えたと思ったら、4んだ鳥が空中で止まっているのをアキラの姉が発見する。

異変に気づいたモロボシダンは、果敢にも異次元空間の隙間に飛び込む。

しかし、そこはウルトラアイもカプセル怪獣も、使えない四次元の世界であった。異次元に閉じ込められたモロボシダン。このピンチをどうする?

 

その50 科特隊から引き継がれたウルトラ警備隊の●●

ことのはじまりは地球防衛軍極東基地から、わずか3㎞しか離れていない別荘地での事です。

アンヌ隊員はアキラ少年を見舞いにこの別荘を訪れていました。アキラ少年の姉とアンヌは友人でした。

隣人の監視を続けるアキラ少年を心配に思い、アンヌはモロボシダンと会わせて勇気づけようと思いたち、ダンを別荘まで誘います。

アンヌとダンが到着したタイミングで「鳥」事件が起こります。

第5話でユシマ博士が宿泊したホテルといい、意外なことに基地周辺には民間の施設が多いことに驚かされますな。

ちなみに登場人物が窓から隣人を観察する物語は、世界的に有名な映画監督ヒッチコック作品のオマージュであります。

「鳥」きっかけで物語が展開するのもオマージュですかな?

ところで、制服姿で再び別荘を訪れたアンヌの挨拶に、初代ウルトラマンの元祖防衛チーム「科学特捜隊」からウルトラ警備隊に唯一引き継がれたものが映っていますが。

いったい何でしょう?
2本指の敬礼ですな。

アンヌの敬礼した指に注目してください。ウルトラシリーズのどの防衛チームでも、「2本指敬礼」が基本となります。

これは、初代「ウルトラマン」のイデ隊員を演じた、二瓶正也さんが考案した、科学特捜隊の敬礼の仕方なのです。

よく知られる敬礼の手は、自衛隊や警察官、消防隊員が使う形です。対して、ボーイスカウトの子たちは、3本指の独特な敬礼のポーズをする事を知っていた二瓶さん。

さらに指を1本減らした2本指の敬礼は、「新しい敬礼ではないか?」ということで、科特隊の隊員達の挨拶に用いられるようになりました。以降もウルトラマンシリーズ全てに共通して防衛チームの敬礼につながります。

国民的なアニメである「ドラゴンボール」も、各所に2本指敬礼がみられるのは、作者の鳥山明がウルトラにかなり影響を受けていることの表れでありますな。

 

その51 ウルトラ界のMマウス?イカルス星人登場

大きな耳をしたイカルス星人は、見方によってはかわいい、愛嬌のあるルックスをした人気宇宙人です。

見た目とは裏腹に、冷徹な性格で戦略に長けた攻撃をしかけます。

宇宙船を四次元空間の中に隠すことで、防衛軍のレーダーを無効化し、かつ攻撃からも身を守れる、クール星人のステルス式宇

宙船の能力を超えた、科学力を活かした戦いを挑んできます。

ウルトラシリーズで異次元世界からの侵略者と言えば、ウルトラマンエースのヤプール人がまず思い浮かびますな。

さかのぼること、ウルトラQから異次元世界に迷い込むドラマはありました。初代マンでは第17話「無限へのパスポート」に登場した四次元怪獣ブルトンは、空間を歪めてしまう力を持つ怪獣でした。

異次元空間を拠点にした侵略者は、イカルス星人が初めてですな?
ちなみにイカルス星人は異次元宇宙人であって、劇中では「第17惑星から来た」と言っているように、宇宙人であってヤプール人のような異次元の住人ではありません。

イカルス星人は四次元に基地があるけど、ヤプール人って異次元といっても何次元なのか謎が多いですな。

「我々の科学は、四次元の世界と三次元の世界とを連結する、コントロールマシンをつくったんだ…」 (イカルス星人)

イカルス星人の人間体を演じた俳優山本廉は、東宝撮影所の俳優です。低い声でまさにタイトルの通り得体の知れない怪しい宇宙人を演じていました。

山本廉さんといえば…初代ウルトラマンの第11 話「宇宙から来た暴れん坊」に登場しました。

脳波怪獣ギャンゴは初代マンの中でもコメディー全開の異色作でしたな。

ホテルの従業員を驚かせるいたずらをして大笑いする、初代マンのコミカルな愉快犯と、シリアスなイカルス星人とのギャップには驚かされます。

  

さすがは東宝専属の俳優さんです。
それにしても、イカルス星人の異次元侵略作戦は、地球防衛軍の目をくらませるだけでなく、モロボシダンの変身能力まで封じ込めてしまう、一石二鳥な作戦でしたな。

その点については一つ気になるところがありまして…

 

その52 ウルトラアイがデリケート過ぎ問題

ウルトラセブンの変身アイテムウルトラアイは、盗難・紛失といったモロボシダンの「うっかり(ヒューマンエラー)」がトラブルの原因となるだけでなく、変身するための装置自体が非常にデリケートである問題があります。

本第10話では、四次元空間内では、次元の違いによるせいか、ウルトラアイを装着しても変身装置が発動しませんでした。

同様にカプセル怪獣も召喚できなかったので、M78星雲人の技術は四次元では使用できないのかもしれませんな。

しかし、第32話「散歩する惑星」では、強力な電磁波の影響によって、またもウルトラアイは不可能となりました。

電磁波に弱いところは致命的ですな。

セブン終了後、ウルトラアイはウルトラマンレオ第1話「セブンが死ぬ時!東京は沈没する!」において、再び登場します。

しかし、セブンがマグマ星人率いる怪獣軍団との戦いで重傷を負ったせいなのか、ダンの姿に戻るとウルトラアイは突然燃えはじめ、壊れてしまいました。

レオ第1話にて壊れてしまったウルトラアイは、ウルトラマンレオ第34 話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」にて、帰ってきたウルトラマンの人間体である郷秀樹の手に渡されます。

「セブンのウルトラアイは弟、帰ってきたウルトラマンの手によってウルトラの国に運ばれた。しかし、はたしてウルトラアイは再び元に戻るだろうか…?」(ナレーション)

と説明があり、恐らく修理のためにウルトラの国へ運ばれたのですが、修理可能だったのかどうかわかりません。

レオの世界では、モロボシダンは人間体の姿で防衛チームのMACの隊長を務めるわけですが…変身不能のまま円盤生物の襲来により行方不明となります…

 

その53 モロボシダンの武勲はもはや隊長クラス?

「もう大丈夫だ。四次元空間と地球を連結するコントロールマシーンはもう破壊したよ。」(モロボシダン)

モロボシダンの活躍により、イカルス星人の宇宙船は逃げ場を失い、ウルトラホーク1号と2号は宇宙船を追撃して、宇宙空間にて撃破することができました。

さすが主人公であるだけに、モロボシダンはめざましい活躍をみせますな。

第1話「姿なき挑戦者」において、モロボシダンは見えない宇宙船を特殊噴霧装置の作戦を進言して、マシーンの製造に協力しました。

ダンが事件を解決に導いた功績により、ウルトラ警備隊への特別入隊が許されたのだとしたら…。

時には命がけで度々、事件解決の突破口を開くダンの武勲は、隊長クラスまでに階級が特進してもいいくらいですな。

こうした主人公モロボシダンの活躍に対する周囲の隊員のリアルな羨望をえがいた物語が、第30話「栄光は誰れのために」の青木隊員の葛藤につながるのではないでしょうか?

ウルトラマンレオでMACの隊長として登場するのは、セブンの時の武勲が働いたと解釈してもいいかもしれませんな。

 

その54 有名なアンヌ●●●ポロリ事件

この第10話は、アンヌにとって忘れられない衝撃の出来事が起こります。

有名な「みかん」の話ですな。

詳しくはひし美ゆり子さんのエッセイ「セブンセブンセブン」にて、当時の苦い思い出をふり返っています。

そして次回、さらにアンヌを窮地に追い込む出来事が起こります…

謎の失踪事件が起こるわけですな…

 

<参考文献一覧>
白石雅彦『「ウルトラセブン」の帰還』2017,双葉社
ひし美ゆり子「セブンセブンセブン アンヌ再び…」2001,小学館
ひし美ゆり子「アンヌ今昔物語ウルトラセブンよ永遠に…」2017,小学館