リテイク【ウルトラセブン|第6話|ダーク・ゾーン】〜「ダーク」とは人間の闇か?〜

 

YouTubeでしか語っていない部分があります

ねえねえ、ウルトラおやじさん…ウルトラセブンの名作回といえば何を思い浮かべますか?

 

「超兵器R1号」、「盗まれたウルトラアイ」、「ノンマルトの使者」…あとは「史上最大の侵略」ですかな?

 

やっぱり…

 

どうしたのです?何か不服なのですかな?

 

ウルトラセブンで人気の高い作品は、後期の作品が目立ちますよね?

 

あ、確かに…

 

セブンの後期は予算不足が深刻になって、特撮よりドラマ重視の方向性になった事から、ビターな大人向けの作品にセブンが人気を集める理由があるのでしょうね…

 

なるほど、大人になって、見返して意味がわかったり、感動したりする作品に、やっぱり人気は集中しますな。

 

シリーズ初期のなかでも、名作とよばれる「ダーク・ゾーン」…この物語は意外とYouTuberの間で語られていないので、あらためて深掘りしたいと思います。

 

あらすじ

謎の電波を受信に作戦室は動揺した。

その頃、アンヌの部屋に謎の影(ダーク・ゾーン)が現れた。

居合わせたダンとアンヌは、影と交流を深めていった。

影は人工のものでつくられた宇宙都市から来たと話す…

ダンは謎の電波と影が話す人工都市が同じものである事に感づくが…ペガッサと地球の運命はいかに?

その33 侵略を目的しない宇宙人

この後に、セブンとペガッサ星人の対決があるわけですが、最後までトドメをささなかったのは、セブンの慈悲ですかな?

 

物語は、夜の町をパトロールするダンとアンヌが、影を見つけて、ペガッサ星人の行方を気にして、そのまま明るい雰囲気で終わっていきます。これには、ウルトラおやじさんどう思いますか?

 

地球の平和が守れて、一件落着という事ですな?

 

とはいえ、ペガッサに住む市民は、都市と運命をともにして、多大な犠牲が生まれているわけです。これには違和感を感じませんか?

 

その34 セブンはペガッサを見捨てたのか?

それを深く考えてしまうと、ウルトラセブンとしては立場がないですな。いっそのこと、変身してペガッサ市の軌道を変える事をしたらよかったかもしれませんな?

 

とはいえ、密度が地球の8万倍もある惑星くらいの宇宙都市を動かすには、さすがにウルトラセブンだけでは難しいという事でしょうか?

 

あっけなく、地球防衛軍の宇宙爆撃艇に破壊されてしまいますが…「超兵器R1号」の前に、防衛軍は恐ろしい兵器を持っているということですな。

 

ホーク1号が接近していますけど、密度がもはや小さなブラックホールと同じなので、重力も大きいはず…近づけば、そのまま吸い寄せられてしまいそうですね。

 

「シン・ウルトラマン」のラストシーンが思い浮かびますな。

お茶をしながら互いの文明を語り合い、交流を深め、結果として地球とぶつかる事になっても、「ダンを連れて逃げろ!」と優しさをみせたペガッサ星人…無情にも、地球人の手によって宇宙都市を破壊されてしまったのですが…この展開は何かに似ていませんか?

 

第42話「ノンマルトの使者」ですな…

 

ノンマルトも海底都市が地球人に木端微塵に破壊されてしまい、「これでよかったのだろうか?」という後味の悪さがドラマの演出にあったわけですが…「ダーク・ゾーン」には無いですよね?

「ダーク・ゾーン」の「ダーク」とは人間の闇ですか?

 

その35 セブンの物語に隠された時代背景

第4話「マックス号応答せよ!」で感じた…大きな犠牲を出しながら、仲間の無事しか取りあげられない…60年代的の高度経済成長的な価値観がチラリと見えるのではないでしょうか?

 

ん?高度経済成長的な価値観とは?

 

要するに、自分達さえよければいい的な考え方です。70年代は公害や差別など…たくさんの暗い社会問題を抱えている時代に、対して60年代は、高度経済成長下、「Always3丁目の夕日」のように明るい時代を想像してしまいがちですが…経済の発展を優先して、暗い社会問題は見てみぬふりしてきた60年代のツケとも言えるのかもしれません。

 

セブン放映された年は、60年代も70年代の中間みたいなものですしな。70年代の社会問題があらわれはじめてきた時期なのかもしれませんな。

 

※詳しくはYouTubeにて語っています!

 

まさに、「ダーク・ゾーン」は異星人同士の狭間に立つセブンの葛藤をえがいた物語そのものですね。

「ダーク・ゾーン」は、あっさりと終わってしまいますが、じっくり深掘りしてみると、なかなかあとを引く、ものがありますな。

ちなみに、セブン本編にて、ペガッサ星人の生き残りとなってしまった彼は行方不明となったままですが、平成セブンにて、ペガッサ星人の残党たちの物語は回収されることになるので、興味があったらぜひみてください。

 

とはいえ、本作の監督、満田かずほにとっては、物語の展開は作戦室とアンヌと宇宙(ホーク1号)くらいで、地味な印象となったようで「これでいいのかな?」と思ったとくらいの作品だったそうです。

 

監督自身も、まさか平成になって回収されるほどの名作となるとは予想だにしていなかったのですな。

 

その36 満田かずほ29歳のメイン監督の苦悩…

監督同士の力関係や年功序列があったようで、メイン監督という大きな肩書きを背負いながら、若手監督としての気づかいが感じられます。

 

どんな事に気を使っていたの?

 

じつは、ウルトラホークの発進したり、帰還したりするシーンは、使い回しなのです。ポインター号の発進も、よく見れば、第1話に同じシーンがあるのがわかりますね。

すると、冒頭数分間は使い回しの画像を挟んでいるんですな。

 

会社からなるべく金を使うなと言われ、満田監督は、第9話の「アンドロイド0指令」では、特撮シーンをおもちゃで撮ることになったとか…

 

若手としての苦労がうかがえますな。

 

シリーズ後半以降になると、スタッフの構成もベテランから若手ばかりになって、満田監督も撮影に不自由しなくなってきたかもしれません。ただ、満田回ではダンとアンヌの純愛を感じる演出を必ずいれています。

 

「マックス号応答せよ」ではアンヌがダンにお守りをわたしたり、本作では、プライベートルームにダンを読んだり、とアンヌがダンに対して好意を持っている事を感じられますな。

 

第6話の魅力はアンヌのプライベートルームがみれることですな…

 

親父さん、うれしそうですね。

 

その37 【悲報】アンヌのプライベートルームは●●だった

 

作戦室とウルトラホークのコクピットは常設セットだったのに対して、アンヌのプライベートルームは、本作のためだけに作られた特別セットだったようです。ところで親父さん、悲しいお知らせがあります。

 

え、そんなにショックなことですかな?

 

アンヌのプライベートルームではあるのですが…無論、アンヌを演じるひし美ゆり子さんの私室を再現したものという訳ではなく、「女の子の部屋ってこんなんかな?」と男性スタッフがたくましく想像を膨らまして作ったセットなのです。

そんな、悲しい現実を言わなくてよくないですかな?

 

あ、すみませんね。(悪意)なので、オシャレ鏡とフランス人形がある中に、謎にペナントや湘南あたりのお土産が置いてあったりと、気になる部分があるのです。

 

オシャレ鏡といえば。有名なペガッサ星人に背後から襲われそうなシーンがなかったですな。

 

あ、有名な話ですが、それはスチール写真といって、図鑑や雑誌媒体にのために撮られた写真なのです。本編の展開と矛盾しちゃって、子供の頃にすごい疑問でしたね…ちなみに、地球防衛軍基地のセットが組まれていたのは、いまはなき東宝美術センターといって、トタン造りのスタジオでした。

 

あんなにハイテク技術の塊であった基地のスタジオがトタンで造られてたのですか?

 

その38 防衛軍基地はトタンでできていた…

トタン造りの建物はいまでは、田舎でもまるっきり見なくなってきたけど、第9話のおもちゃじいさんのアジトはまさにトタン小屋の廃墟でしたな。

 

昭和時代、トタン板は安く、多く普及していましたが、夏は暑く、冬は寒いという素材は最悪だったようです。なので冬の撮影では、作戦室で話す隊員の息が白くなったりしたそうです。雨が降ったら相手のセリフが聞き取れないくらいの劣悪な環境だったそうです。

 

雨の音が入ったりしないのですかな?

 

セブンの音声やセリフは後でつけられたアフレコなので、現場の音などは関係なく、最終回のアンヌとダンのシルエットのシーンも、アルミの板を後ろから叩いていたりと雑音が多くあったようです。

アナログですな。

 

アナログといえば、作戦室の自動ドアがスタッフによる手動で開く仕組みであったのは有名な話ですね。

そんな東宝美術センターの建物は、第45話「円盤が来た」にて福新くんが天体観測しているシーンにて、劇中で観ることができます。

という、撮影現場の裏話で今回の動画は終わりですかな?あれ?アイスラッガーの話は?

 

今回は、ダークゾーンの物語をじっくり語りたくて、第10話にしようと思います。また、過去動画では別の角度からより詳しく語っていますのでぜひ観てください。

 

また、酒焼けしたウルトラおやじの声を修正した動画を再アップしていますので、ぜひそちらも観てみてください。

 

おやじさん、飲み過ぎは勘弁です。あと、次回「宇宙囚人303」は、ウルトラホークの魅力を中心に、なぜ4K映画化されたかについて、魅力を深掘りしてまいりますので、お楽しみに!